勇者と魔王のショートコント 24
勇者
俺、催眠術を使えるようになったんだ。
魔王
私にかけようとしたら殺すからな。
勇者
分かってるよ。
魔王
しかし本当に使えるようになったのか?
勇者
おう! スライムで試して成功したからな!
魔王
……ちなみにどんな催眠をかけたのだ?
勇者
『あなたはだんだん焼きそばパンを買ってきたくなる……お釣りは貰えるからだんだん焼きそばパン買ってきたくなる……』
魔王
ただパシってるだけじゃないか!
勇者
でも女幹部にかけても成功したぞ。
魔王
どんな催眠を掛けたのだ。
勇者
『あなたはだんだん魔王の秘密を喋りたくなる……。あなたはだんだん魔王の秘密を喋りたくなる……』
魔王
催眠にかかっていなくても喋るだろ。……じゃない! アイツは一体私の何をしゃべったんだ!?
勇者
いや別に大したことはしゃべってねえよ。今日の魔王のパンツの色くらい。
魔王
あのバカたれめ!
勇者
まあそんな事は聞く前から知ってたんだけどね。
魔王
なんで周知の事実なんだ!?
勇者
ということで、これからお前に催眠を掛けるぞ。
魔王
だから掛けるなと言っているだろうが!
勇者
先ずチンコを出します。
魔王
しまえ!
勇者
ほぅら、僕の股間をじっと見て。
魔王
嫌じゃ!
勇者
クロノトリガー。
魔王
黙れ!
勇者
はい、貴方は既に催眠にかかっています。
魔王
う、嘘をつけ! 私は貴様の股間を見てないのだから掛かっているはずがない!
勇者
では魔王さん、右手を上げてください。
――魔王は右手を上げてしまった!
魔王
な、なんだコレは!?
勇者
グフっ。次は左手を上げて下さい。
――魔王は左手を上げてしまった!
魔王
うっ! 体が言う事を聞かない!
勇者
ゲヘへっ、もう抵抗しても無駄だぜ! これでお前は俺の思いのまま! 諦めて俺のケツを叩く毎日を送るんだな!
魔王
この期に及んでどうして される側なんだ! ……なんてな。
勇者
え?
魔王
この魔王たる私が貴様ごときの催眠術にかかるわけがなかろう。
勇者
そんな! 昨日「エロ催眠術師」に1万ゴールド払って教えてもらったのに!
魔王
そいつ絶対にインチキだろ。
勇者
クソッタレぇ! こんなことで俺のスパンキングライフを諦めてたまるか!
魔王
斬新な言葉を作り出すな!
勇者
こうなったら俺自身に催眠を掛ける!
魔王
ほう、自己催眠で強くなるつもりか?
勇者
違う! 自己催眠で魔王になり切ったあとで自分の尻を叩くんだ!
魔王
どんな頭の使い方をしたらそんな事を思いつくんだ!
勇者
魔王です。これから勇者の尻を叩こうと思います。
魔王
絶対にシラフだろ貴様!
勇者
んほお! もっと叩いてぇ!
魔王
もうやだコイツ……。
勇者
ねえ、なんか虚しくなってきたんだけど。
魔王
知らんわ!
おわり
お読みいただきありがとうございました!




