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勇者と闇魔道士と女騎士の怪談

*少しホラーっぽい話になっています。

勇者

うぅ、暑い。最近暑すぎないか?



闇魔道士

夏だからな。



女騎士

こんな時は怪談話(かいだんばなし)をするのはどうだろう?



勇者

ええ、俺怖い話苦手なんだよなぁ。



闇魔道士

ふん、勇者ともあろうものが情けない。怪談話を怖がっているような奴が料理長の座を奪えると思うなよ。



勇者

思ってねーよ。



闇魔道士

まぁ、たまには()れてみるのも面白いだろう。



女騎士

では夜に決行だ!



――魔法使いも調合師も寝静まった真夜中、3人は蝋燭(ろうそく)を片手に一つの部屋に集まった。部屋は赤くぼんやりとした明かりで包まれ、蝋燭の不確かな火に3人の影はゆらぎ、部屋の外からは虫の声が心細く(ひび)いていた。



女騎士

よし、みんな集まったな。



勇者

何もこんな夜中にやらなくても……。



闇魔道士

今から怖がっていてどうする。



女騎士

では私から行くぞ。



女騎士

……あれは私がまだ小さい頃だった。



闇魔道士

ひいいいいいいい!



勇者

早い早い早い。



闇魔道士

大丈夫だまだ1ミリリットルしか出ていない。



勇者

早速ちびってんじゃねえか!



女騎士

その時も、こんな暑苦しい日だった。私は深夜、ふとトイレに行きたくなって廊下(ろうか)に出た。



勇者

ほう。



女騎士

するとボウッと何か浮かんでいるものがある。



闇魔道士

おい勇者。



勇者

ん?



闇魔道士

手を(にぎ)っていもいいか?



勇者

ダメに決まってんだろ!



女騎士

私は最初、それは見間違いだと思ったんだ。



勇者

いや見間違いであってほしいわ。



女騎士

しかしそれはゆっくりと私の方へ近づいてくることが分かった。



女騎士

そして私は気付いた。



女騎士

その白くぼんやりしたものは人の頭だったのだ。



闇魔道士

おい女騎士! それ以上言うな! それ以上言ったらこの部屋を大洪水が(おそ)うぞ!



勇者

もう(みみ)(ふさ)いでろよお前。



女騎士

その眼は見開かれて私をジッと見ていて、口は顔を両断するくらい大きく()けていたんだ。



女騎士

私は恐ろしさのあまり逃げようとした。だがまるで金縛(かなしば)りにあったかのように身体が動かないのだ。



女騎士

ふと、その白い頭が床にストンと落ちた。そして私の方に近づいてくるのも止めた。



女騎士

だが次の瞬間すごいスピードで私の方に迫ってきた! 眼も口も不自然に開かれていて、まるで私の肉を食いちぎろうとしているかのようだった。



女騎士

私は恐ろしさのあまり、そこで気を失った。



女騎士

翌日、目を覚ました私は自分がベッドの中にいることに気付いた。心底ホッとした。ああ、あれは夢だったんだ、と。



女騎士

ふと横を向いた私の目に飛び込んできたのは、青白い顔で笑う、昨日の頭だった。



勇者

……!



女騎士

終わりだ!



勇者

お、お前ガチで怖かったじゃねえか! こんな時だけ「くっころ」封印(ふういん)するとか卑怯(ひきょう)だぞ!



女騎士

はて何の事だろうな?



闇魔道士

ふん、たいして怖い話ではなかったな。



女騎士

じゃあなんでさっきから耳を塞いで涙目になっていたんだ?



闇魔道士

それはアレだ! ほら、UFOを呼んでいたのだ!



勇者

あれ? 闇魔道士の背後に 青 白 い 頭 が 。



闇魔道士

ぎゃああああああああああ!




――大洪水が起こった!




おわり


お読みいただきありがとうございました!

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