勇者と魔王のショーコント 19
魔王
今日は星空が綺麗だなあ。
勇者
こんばんはぁ。
魔王
うわっ!
勇者
なんだよ人を幽霊みたいに。
魔王
いきなり背後から声を掛けるな!
勇者
そんな事より探したぞ魔王。どこにいるのかと思ったら外で星を見てたんだな。
魔王
私だってたまには夜空を眺めたくなる時もある。
勇者
天体観測ね。スズムシが鳴いてたら良い雰囲気になるんだけどな。
魔王
確かに虫の声も風流だな。
勇者
小腹がすいたらその辺のコオロギ食べれば良いし。
魔王
サヴァイヴァーか!
勇者
ところで流れ星を見つけたら何をお願いしたい?
魔王
気持ち悪いからそんなロマンチックなことを聞くな。
勇者
えっ俺の願い? いやあ、言うの恥ずかしいなあ。
魔王
何なんだその一人芝居は。
勇者
俺はやっぱり女の子になりたい。
魔王
(すごい変化球を投げてきよった……!)なぜだ?
勇者
だって女湯に堂々と入れるじゃん。
魔王
やっぱりそういう目的か。
勇者
そうしたら今までみたいに女湯に入るたびに風呂桶投げつけられたり股間を蹴り上げられたり牢獄に閉じ込められたりすることもなくなるわけだろ?
魔王
既にやっているんじゃないか!
勇者
うん、俺セクハラ働きすぎて賞金首になってるからな。
魔王
セクハラで!?
勇者
いやぁ、デカい国のお姫様に手出しちゃってさぁ。
魔王
勇者のクセに何をやってるんだ……。
勇者
十人くらい。
魔王
大魔神か!
勇者
あと女の子になったら魔王にセクハラ働き放題だしな。
魔王
今でも働きまくってるではないか!
勇者
バカ、俺が女になったところを想像してみろって。
魔王
断る!
勇者
その時俺がお前にキスを迫ったとしてもそれは芸術であってセクハラではないわけだ。
魔王
どういう理屈だ!
勇者
でも俺が女だったら絶対に美少女だぜ?
魔王
何なんだその自信は!
勇者
始めは拒絶していた魔王だが徐々に自分の心に逆らえなくなっていく。そして魔王は言うのだ。「そうよ! 私は勇者の事が好きだったのね!」
魔王
ふざけるな! 私はレズではないぞ!
勇者
まあコオロギでも食べて落ち着けよ。
魔王
落ち着けるかぁ!
勇者
で、お前の願いは?
魔王
貴様に教える筋合いはない。
勇者
どうせ「割りばしが上手く割れますように」とかそんなんだろ?
魔王
みみっちいわ!
勇者
じゃあ毎日割りばしがうまく割れますように?
魔王
頻度の問題ではない! いいか、よく聞け。私の願いは「勇者に付きまとわれなくなりますように」だ!
勇者
お前が結婚してくれたら付きまとわないぞ。
魔王
死んでもするか!
勇者
あ! おい魔王、流れ星だ!
魔王
本当だ! (勇者に付きまとわれなくなりますように、勇者に付きまとわれなくなりますように、)
勇者
チンポチンポチンポー!
魔王
うるさぁい!
おわり
お読みいただきありがとうございました!




