闇魔道士、パーティーやめるってよ 2
――パーティー全員の前で闇魔道士が事情を話すことになった!
闇魔道士
我はこのパーティーをやめる。
魔法使い
おや、どうしてですか?
闇魔道士
我は高級宿屋のチーフコックになるのだ!
調合師
闇魔道士がいなくなったらご飯が食べられない……。
闇魔道士
勇者に作ってもらえばよかろう。
調合師
勇者の作った料理を食べるくらいなら毒薬を飲んでのたうち回りながら死んだ方がマシ……。
勇者
原理主義者かお前は!
女騎士
調合師くっころ力高い。
勇者
今真面目な話してるから「くっころ」言うの禁止な。
女騎士
くっ、ボヘー!
勇者
どっから音出してんだよ。
魔法使い
私も闇魔道士に残ってもらいたいですね。
闇魔道士
みんなが我に残ってほしいと言ってくれることは嬉しい。だが我も悩んだ末の決断なのだ。
勇者
悩んだ末に仲間を捨てるわけか。
女騎士
ボ、おい勇者、なぜそんな攻撃的な言い方をする。
勇者
お前ボヘー! って言いかけたろ。……俺は今まで闇魔道士と冒険してきて楽しかったよ。かけがえのない仲間だと思ってる。闇魔道士も俺たちのことを仲間として大切にしてくれてるのは分かったしそれは嬉し
女騎士
くっころぉ!
勇者
耐えろよもうちょっと! 今すごくシリアスな話してたのに!
女騎士
すまん、あと1秒でも「くっころ」というのが遅れたら命を落とすところだったのだ。
勇者
それ命がけだったの!?
魔法使い
あのー、お取込み中のところちょっといいですか。
勇者
何も取り込めてないけど どうした?
魔法使い
このパーティーで稼いでるのって、実質モンスター倒してる私だけですよね。
勇者
あ、はいそうです。
調合師
勇者なぜ敬語になるの?
魔法使い
という事は食材を買うお金も全部私が出していたってことですよね。
闇魔道士
まあ、そうなるな。
魔法使い
そして闇魔道士「食材に妥協したくない」とか言ってしょっちゅう高級食材に手を出してましたよね。
闇魔道士
そ、それは貴様らを喜ばせようと思ってだな。
魔法使い
ええ。私も美味しいもの食べたかったですし、別に気にしてませんよ。闇魔道士がこのパーティーに 残 る ん な ら。
闇魔道士
ぐぬぬ。
魔法使い
もし出ていくって言うんなら今までの経費、食費だけじゃなくて宿代やアイテム代も払ってもらいませんとねえ!
闇魔道士
ふ、ふえええええ。
勇者
怖い。
魔法使い
貴方、いや、ここにいいる全員は私の許可なしにこのパーティーを出ることは許されないんですよぉ! 分かりましたか、ヒモ魔道士さん!
闇魔道士
くっ……はい。
女騎士
おい闇魔道士の「くっころ力」が上がったぞ!
勇者
何に喜んでんだよ。
調合師
ねえヒモ、じゃなくてカニ魔道士。
闇魔道士
カニでもないわ!
調合師
これからも、闇魔道士の料理を食べられることが、私すごく嬉しいの……。
闇魔道士
……ふっ、やはり貴様ら我が闇を拠り所にせねば生きていけぬようだな! 良いだろう、この闇の権化、闇魔道士様がこれからも力を貸してやろうではないか!
勇者
単純な奴だな。まあ闇魔道士が残ってくれることになって良かった……。
***
――この一件で闇魔道士の「くっころ力」が29上がった!
勇者
くっころのステータスあるのかよ!
おわり
お読みいただきありがとうございました!




