闇魔道士と調合師のお留守番
調合師
勇者たちはまだ帰ってこないのかしら。
闇魔道士
日が暮れる頃には戻ると言っていた。もうすぐ帰ってくるだろう。
調合師
きっと3人で寿司を食べに行っているに違いないわ……!
闇魔道士
それは無いな。
調合師
どうして?
闇魔道士
我の寿司を食った者は他の寿司では絶対に満足出来ない身体になるからな。
調合師
イケナイ薬でも入っているのかしら?
闇魔道士
違う。我が闇魔道士だからだ。
調合師
何の答えにもなっていないのだけれど。ところで、「くっころ」は本当に仲間になるのかしら。
闇魔道士
どうであろうな。魔法使いが頑なに反対していたからな。
調合師
魔法使いもあんな性格じゃ絶対お嫁にいけないと思うの……。
闇魔道士
貴様は人のことが言えるのか?
調合師
私は大丈夫。いざとなったら特製の媚薬を使うから……。
闇魔道士
なかなか闇力の高い発想だな。
調合師
その闇力って何なの……?
闇魔道士
闇力は闇力だ。邪悪なる滅びの概念とでも言おうか。
調合師
だけど私は闇魔道士が闇魔法を使うところを一度も見た事がないわ。
闇魔道士
日常的に使っているぞ。強火が必要な時は「冥府の業火」で火を起こしているし、大根を千切りにする時は全てを切り刻む「死神の鎌」を使っている。
調合師
家庭的ね。
闇魔道士
うぐっ。我の中の闇力が疼く……!
調合師
すごくワザとらしい……。
闇魔道士
うっ、出る!我の中の闇力が顕現する……!
闇力
はい出ました。
調合師
ねえこれ以上ないくらい気持ち悪い物が出てきたのだけれど。
闇力
これがシャドウパワーです。
調合師
そして喋るだけで不愉快だわ。
闇魔道士
それが我の中に住む闇。我に力を与えもし、我の身体を蝕みもするのだ……。
調合師
蝕むって寿命を縮めるとか……?
闇魔道士
いいや違う。眠っている勇者の顔にカマボコを張り付けたくなるのだ。
調合師
えっ、気持ち悪。
闇魔道士
気が付いたら勇者の顔はカマボコで一杯になっていた事もあった。
調合師
今度から勇者の事はカマボコ仮面って呼ぶわ……。
闇魔道士
我は勇者に張り付いたカマボコを食べながら激しく後悔した!
調合師
何その地獄絵図……。
闇魔道士
なぜ食べ物を張り付けてしまったんだ! 代わりに雑草か土を載せておけば良かった、と!
調合師
勇者を埋めて殺す気なのかしら。
闇力
次はチクワを張り付けてぇなあ!
調合師
次しゃべったら叩き潰す……。
闇魔道士
さて、我はそろそろ夕食の準備に取り掛かるとするか……。
調合師
私も手伝うわ。
闇魔道士
なんだ、花嫁修行か?
調合師
いいえ、魔法使いの料理に「24時間笑いが止まらなくなる
薬」を混ぜたいの……。
闇魔道士
やめておけ。……いや、面白いかもな。
終わり
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