勇者と女騎士の決闘
――勇者と女騎士が戦うことになった!
女騎士
というわけで私とお前で勝負だ。
勇者
阿波踊りなら出来ないぞ。
女騎士
分かっている。今回は我慢対決だ!
勇者
なんか勝てる気がしない。
魔法使い
恥辱に歪む勇者さんの顔をこの目に焼き付けなければ!
勇者
何を期待してんだよ。しかし何を我慢する対決なんだ。
女騎士
どっちがより長く熱湯に浸かっていられるか勝負だ!
勇者
お前は俺にどんなリアクションを求めてるんだ。
魔法使い
ということで熱湯を用意しました。
勇者
おいなんか変な泡立ってないかそれ!
魔法使い
ええまあ摂氏二千度ですからね。
勇者
いや入れるわけねえだろ!
魔法使い
じゃあ先ず勇者さんにお風呂のふちに立ってもらいましょうか。
勇者
無理無理! 絶対無理! こんなの俺入らない!
魔法使い
なにこの期に及んで下ネタ言ってるんですか。
勇者
言ってねえよ!
女騎士
らちが明かん。おい魔法使い。二人で羽交い絞めにして持っていこう。
魔法使い
よいしょ。どうですか勇者さん、女の子二人に羽交い絞めにされる気分は。
勇者
そんな事考える余裕なんかないわ!
――勇者は熱湯風呂のふちに立たされた!
女騎士
どうだ?間近で見たらやっぱり入りたくなっただろう。
勇者
なってねえよ!
魔法使い
早く入りましょうよ。
勇者
絶対いやだ!
魔法使い
早くしないと押しますよ?
勇者
いや押すなよ!絶対押すなよ!フリじゃないからな!
女騎士
おりゃっ。
――勇者は押されて熱湯風呂に落ちた!
勇者
ண த ந ன ப ம ய ர ற ல ள ழ வ ஷ ஸ ஹ ா ி ூ ெ ே ை ொ ோ ௌ ௗ ௧ ௨ ௩ ௪ ௫ ௬ ௭ ௮ ௯ ௰ ௱ ௲ ☃ஹ⟦☆⁂∺∻!!!
魔法使い
アハハ!勇者さんナイスリアクション!
勇者
ぅ悪魔かてめえら!!
魔法使い
だって勇者さんが押せって言うから。
勇者
押すなって言っただろ!
魔法使い
それフリじゃないですか。
勇者
フリじゃないって言っただろぉ!?
魔法使い
アハハ!「フリじゃないから」っていうフリじゃないですか!
女騎士
ただいまの記録5秒。
勇者
なに冷静に記録してんだよ!
女騎士
もういい。何も言うな勇者。
勇者
なんで口封じしようとしてんだ!
女騎士
自らの命を顧みず熱湯風呂に身を投じるその姿勢。まさに勇者だ。
勇者
押されたんだよ! お前らに!
女騎士
見直したぞ。お前はただの変態じゃなかったようだ。
勇者
お前はただの殺人未遂犯だけどなあ!
魔法使い
なんで勇者さんそんなに怒ってるんですか?
勇者
殺されかけたからに決まってんだろ!
魔法使い
え? 誰に?
勇者
痴呆症か! お前らだよ!
女騎士
おい勇者。
勇者
なんじゃい!
女騎士
私はやはりお前と旅がしたくなった。このパーティーに入れてはくれないだろうか……。
勇者
うーん。俺は最初から入れても良いと思ってるんだけど……。どうだ魔法使い?
魔法使い
なんか勇者さんのもがき苦しんでるところを見てたら勝負の事なんかどうでもよくなってきちゃいました。
勇者
お前マジではっ倒すぞ。
魔法使い
だから女騎士をパーティーに入れてあげていいと思います。
勇者
だそうだ女騎士。これからよろしくな。
女騎士
ほ、本当か!ありがとう!これからパーティーのために一生懸命「くっころ」するからな!
勇者
それ絶対言わなきゃいけない呪いにでもかかってんのかよ。
――女騎士が仲間になった!
――勇者の肩書がリアクション芸人に格上げされた!
おわり
お読みいただきありがとうございました!




