勇者と魔王のショートコント 14
勇者
俺には一つ納得のいかないことがある。
魔王
なんだ?
勇者
なんで俺がボケでお前ががツッコミなのかってことだ。
魔王
貴様がボケるからだろう。
勇者
いいや違うね! お前が突っ込むからだ!
魔王
いや私は突っ込んでるというより貴様を拒絶しているだけなんだが。
勇者
そこまで言うなら仕方ない。ボケとツッコミを交代しようじゃないか。
魔王
私は何も言っていないぞ!
勇者
というわけで何かボケろ。
魔王
え?ええっと、わ、私が世界を守る勇者だぞー。
勇者
じゃあ俺が代わりに魔王やるわ。
魔王
ツッコミはどうした!
勇者
ほらそうやって隙あらば突っ込もうとする!
魔王
貴様が隙あらばボケるからだ!
勇者
じゃあもう一回やるぞ。
魔王
えっと、実は私には1000人の姉妹がいるんだ。
勇者
へえ。それでそれで?
魔王
え?そ、それで1000人とも頭にセミの抜け殻が付いていてな……。
勇者
それからそれから?
魔王
そ、それからセミの抜け殻だと思ったものは実はネギだったわけで……。
勇者
そしてそして?
魔王
いい加減突っ込めよ!苦しいわ!
勇者
ケツに?
魔王
何をだ!
勇者
ネギを。
魔王
突っ込まんわ!
勇者
それにしてもいつボケてたの?
魔王
さっきからずっとボケボケだっただろ! なんだセミの抜け殻を頭につけた1000人の姉妹って!その上ネギときたんだぞ!
勇者
分かった分かった。次はちゃんと突っ込むよ。
魔王
じゃあ行くぞ。実は私、魔王じゃないんだ。
勇者
ええっ?
魔王
実は、私は牛だったんだ!
勇者
嘘つけ!
魔王
う、嘘じゃないぞ。モー。
勇者
じゃあ牛乳を出せ!
魔王
出せるか!
勇者
牛じゃねえのかよ!
魔王
そういうボケだ!
勇者
でも俺乳首から牛乳出せるよ。
魔王
何で出せるんだ!?
勇者
ほら、しぼりたてお飲み。
魔王
気持ち悪いわ!
勇者
じゃあ直飲みなら大丈夫?
魔王
より気持ち悪いわ!
勇者
ん?いつの間にか俺がボケに戻ってないか?
魔王
貴様が乳首から変な汁を出すからだ!
勇者
うーん。うまく突っ込めないなあ。
魔王
もういい。私にボケは向いてないし、貴様にツッコミは向いていない。それでいいではないか。
勇者
よくない!俺は絶対キレのあるツッコミをするんだ! おい魔王もう一回ボケろ!
魔王
もう一回だけだぞ。そうだな。勇者さんや。朝ごはんはまだですかえ?
勇者
ここに用意しているぞ。
魔王
あるの!?
勇者
牛乳を掛けたご飯に牛乳を掛けた味噌汁に牛乳の皮を被った牛乳。
魔王
それ全部貴様の出汁が入っているだろう!
勇者
いただきます!
魔王
しかも自分で食べるのか!
——勇者は死んだ!
魔王
何が入っていたんだ!?
終わり
お読みいただきありがとうございました!




