勇者と調合師のショートコント
調合師
ここの闇魔道士が作るご飯はおいしいのね。
勇者
アイツの腕前はプロ並みだからな。
調合師
ところで次のご飯はまだかしら……?
勇者
さっき昼飯食ったばっかだろ!
調合師
そうだったわね……。ところで3時のおやつはあるのかしら?
勇者
食う事しか考えてねーのかよ。
調合師
その言い方は失礼……。私はしっかり寝ることも考えている……。
勇者
ニートか!
調合師
心配しないで。しっかりあなたたちの事も考えている……。
勇者
本当かよ。
調合師
勇者に毒薬を飲ませたらどうなるのかなとか……。
勇者
なんで殺そうとしてんだよ!
調合師
殺しはしない。雇い手がいなくなったら困るもの……。
勇者
本当かよ……。
調合師
致死量は越さないように……。
勇者
まず毒薬を飲ませんな!
調合師
麻痺毒は……?
勇者
結局毒じゃねえか!大丈夫かよ本当に……。
調合師
心配しないで。戦闘に備えてしっかり準備はしている。
勇者
ほう。
調合師
あなたたちが負けたときのために荷物をまとめている。
勇者
逃げる気満々じゃねえか!
調合師
だって私は戦えないもの。
勇者
せめて回復薬を渡すとかあるだろ……。
調合師
やれることはやるつもりよ。
勇者
例えば?
調合師
この「飲んだら一時的に足が速くなる薬」を飲もうと思うの……。
勇者
逃げる方向に全力じゃねえか!
調合師
その時はあなた達にも飲ませてあげるわ。この「睡眠薬」を……。
勇者
おとりにする気じゃねえか!
……そういえば今更だけど、どうしてこのパーティーに入ろうと思ったんだ?
調合師
……意外かもしれないけれど私には友達がいないの……。
勇者
あ、うん。
調合師
さらに信じられないかもしれないけど、私はマイペースだからどのパーティーにも馴染めなくて……。
勇者
あ、うん。
調合師
そんな時にギルドであなたたち3人を見かけたの……。とても仲良く話しているのを見て、私も仲間になりたいと思ったの。
勇者
え?すごく意外だわ。
もっとえげつない理由かと思った。
調合師
例えば?
勇者
いやほら、俺たちを薬の実験台にしたかったとか……。
調合師
そんなことはあまり考えていないわ。
勇者
少しは考えてるのかよ!
調合師
さて、そろそろ私は薬を調合する作業に入るわ……。
勇者
お、どんな薬を作るんだ?
調合師
飲んだらモンスターが寄ってくる薬……。
勇者
……何に使うんだ?
調合師
勇者がモンスターに負けそうなときに……。
勇者
やっぱりおとりにする気じゃねえか!
おわり
お読みいただきありがとうございました!




