勇者と魔法使いのショートコント Summer
魔法使い
「今年は特別な夏にしたいですよね?」
勇者
「なんで俺に聞くんだよ」
魔法使い
「勇者さんは夏に私と何かやりたいことはありますか?」
勇者
「俺はお前と離れていたい」
魔法使い
「やだ、そんな、照れるじゃないですか」
勇者
「褒めてねーよ」
魔法使い
「そういうわけだから私、特別でロマンティックな夏にするためのデートプランを考えてきました」
勇者
「……それ、俺が行く前提になってないか?」
魔法使い
「まず勇者さんの実家を焼き払います」
勇者
「いきなり織田信長かお前は!!」
魔法使い
「これで勇者さんの帰る場所は私の元しかありません」
勇者
「発想が怖すぎる!」
魔法使い
「そして勇者さんの全身に塩を塗り込みます」
勇者
「キュウリか」
魔法使い
「暑さ対策です」
勇者
「なってねーよ、肌がベタベタするだけだろうが!」
魔法使い
「そしてそのままカブトムシを取りに森へ行きます」
勇者
「それロマンティック……?」
魔法使い
「森から帰ったら今度は温泉に行きましょう」
勇者
「ほう」
魔法使い
「そこで勇者さんの身体をタワシで擦ります」
勇者
「カビか俺は! もっと優しく洗えよ!」
魔法使い
「そして再び塩を塗り込みます」
勇者
「タワシで擦られた後だと絶対しみるだろ!」
魔法使い
「夜になったら夏祭りで出店を開きましょう」
勇者
「売る側なのか。何の店だ?」
魔法使い
「カエルすくいです」
勇者
「カエルか。ピョンピョン跳ねるから難しそうだな」
魔法使い
「全部死んでるから大丈夫ですよ」
勇者
「水死体すくって何が楽しいんだよ!」
魔法使い
「ちゃんと内臓取ってあるから大丈夫ですよ」
勇者
「大丈夫の基準が一切分からねえ!」
魔法使い
「カエルが余ったら祭りに来ているカップルにぶつけましょう」
勇者
「やっぱり嫌がらせじゃねえか!」
魔法使い
「カエルが無くなったら灯篭流しに行きましょう」
勇者
「……お前すごい神経してるな。今更だけど」
魔法使い
「そして勇者さんの顔写真を付けて流します」
勇者
「それじゃ俺が死んだみたいになるだろ!」
魔法使い
「そうして二人で勇者さんの灯篭を始末したら帰りましょう。カエルだけに」
勇者
「……」
魔法使い
「次の日は海へ行きます」
勇者
「嫌な予感しかしない」
魔法使い
「二人で一緒にスイカ割りをしましょうあはははははは!」
勇者
「(テンション上がって来た!?)」
魔法使い
「スイカだと面白くないんでモンスターの頭にしましょう」
勇者
「いやビーチが処刑場みたいになるだろ!」
魔法使い
「割ったらコンクリートに詰めて海へ捨てましょう」
勇者
「何それヤクザ体験ツアー!?」
魔法使い
「ふふっ、明日が楽しみですね」
勇者
「俺は絶対行かねえからな!」
おわり