勇者と魔王のショートコント 45 サンバ
勇者
「魔王、サンバの季節がやって来たぞ」
魔王
「そうなのか……?」
勇者
「だからこのサンバの衣装を着るんだ」
魔王
「いや、これもう裸みたいなものじゃないか!」
勇者
「俺が魔王のために一番際どい衣装を選んできたんだ」
魔王
「そんなの私が着るわけないだろ!」
勇者
「じゃあ俺が着るわ」
魔王
「お約束か!」
勇者
「次は踊りの練習だな。魔王、踊れ」
魔王
「断る。私は参加自体しない」
勇者
「何でだよ! お前のために踊りの先生まで呼んできたんだぞ!」
魔王
「先生……?」
――勇者教の信者たちがなだれ込んできた!
魔王
「またコイツらか!」
勇者
「何だよ人を妖怪みたいに!」
魔王
「いや妖怪よりも恐ろしいわ! そしてうちの門番たちは何をしているんだ!」
勇者
「とっくに勇者教に改宗してるぞ」
魔王
「ザビエルか貴様!」
勇者
「いや俺ハゲてないし」
魔王
「そういう事を言っているわけじゃない!」
勇者
「まあ今日は尻を叩かないから安心しろよ」
魔王
「ダメだ。出て行け」
勇者
「何でだよ! まだ何もしてないだろ!」
魔王
「貴様らの存在自体がギルティだ!」
――勇者教の一同全員で腰を振り始めた!
魔王
「悪夢だ……」
勇者
「きったねえ光景だな」
魔王
「じゃあやらせるな!!!」
勇者
「どうだ魔王、お前も踊りたくなっただろう」
魔王
「いや貴様さっき自分で汚いって言ってただろうが!」
勇者
「え? 言ってないよ?」
魔王
「見え見えの嘘をつくな! いい加減にしろ! もう今日という今日は我慢ならん! 私の全力をもって貴様らを地獄に葬り去ってくれる!」
勇者
「よせ魔王!」
魔王
「もう止めても無駄だ!」
勇者
「破壊するのは俺のハートだけにしろ!」
魔王
「顔面もろとも破壊してくれるわ!」
勇者
「おや、そろそろサンバの準備が整ったようだぞ?」
――どこからか陽気な音楽が流れ始めた!
魔王
「どこからこの音楽は流れて来てるんだ……?」
勇者
「もちろん俺の尻から」
魔王
「ジュークボックスか!!!」
勇者
「USBも差し込めるぞ」
魔王
「ハードディスクか!」
勇者
「ヘッドホンを差し込んでお楽しみください」
魔王
「何を!?」
勇者
「最高の音質に決まってるだろう!」
魔王
「絶対ノイズが混じってるだろ!」
勇者
「今なら50曲ダウンロード無料」
魔王
「どこからダウンロードするんだ!」
勇者
「尻から」
魔王
「始まりの地か!」
勇者
「さあ御託はそこまでだ! 始めるぞ魔王!」
魔王
「始めるな!」
勇者
「サンバ!!」
魔王
「黙れ!」
勇者
「チンポ!」
魔王
「うるさぁい!!!」
――魔王城は爆発しました。
おわり
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