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勇者と調合師のショートコント 4 店番

――調合師は街に薬屋を開いていた。今日の天気は雨である。




勇者

「雨だな」




調合師

「そうね」




勇者

「お客さん来ないな」




調合師

「雨だからね……」




勇者

「暇だな」




調合師

「暇ね……」




勇者

「じゃあ俺もう店番やめて帰っていいか?」




調合師

「ダメ……。一人だと退屈だもの」




勇者

「でもやることも無いしなぁ」




調合師

「勇者、ちょっと外でスライディングして来てよ……」




勇者

「嫌だよ。雨天中止になったプロ野球じゃないんだから」




調合師

「はあ、少しは観客を楽しませなさいよ……」




勇者

「どこだよ観客は」




調合師

「にしても薬が売れないと困るわね。勇者への給料も渡せなくなるわ……」




勇者

「それは困る」




調合師

「試しにパンとか売ってみようか……?」




勇者

「いや薬屋でパンて」




調合師

「薬屋らしくパンの中に胃薬を詰めておくの」




勇者

「もうそれ食への冒涜だろ」




調合師

「でも、よく考えたら薬屋でパンを売るのっておかしいわね。少しは考えなさいよ勇者」




勇者

「お前が言い出したんだろうが」




調合師

「じゃあ代わりにお弁当を売るのはどうかしら……?」




勇者

「変わってねーじゃねえか」




調合師

「とんかつ弁当に胃薬を入れたら胃もたれしなくなるんじゃないかしら……?」




勇者

「その何にでもマヨネーズ掛けるみたいな発想やめろよ」




調合師

「はあ。薬屋で弁当を売るとかどんな神経してるのよ、勇者」




勇者

「いちいちボツ案を俺になすり付けんな」




調合師

「もういっそ飛行機とか売ってみましょうか……」




勇者

「飛んだな。色んな意味でぶっ飛んだな」




調合師

「そして座席には胃薬が大量に……」




勇者

「もう航空事故だろそれ」




調合師

「逆に勇者は何を売ったらいいと思う……?」




勇者

「うーん、雨だし、カサとか?」




調合師

「はあ。勇者には商売センスの欠片も無いわね……」




勇者

「お前に言われたくないわ。でもやっぱ、この店でしか買えないものがあればお客さんは来るんじゃないんだろうか」





調合師

「じゃあクッコロニウムとか……?」




勇者

「女騎士しか買いに来ないだろ」




調合師

「じゃあ幸せな気分になれる白い粉……」




勇者

「それは一番ダメな奴だから!」




調合師

「注射器もセット販売してみるのも良いわね……」




勇者

「ここぞとばかりにナイスアイディアだな!」




調合師

「……はあ。結局は私に下着を売れって言ってるのね?」




勇者

「言ってねえよ!」




調合師

「でも勇者なら買いそう……」




勇者

「買わねえよ!」




調合師

「じゃあ勇者のパンツ……」




勇者

「危険物じゃねえか!」





おわり



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