勇者と魔王のショートコント 11
勇者
俺、勇者やめるわ。
魔王
どうしたんだ開口一番。
勇者
就職するんだよ。
魔王
貴様が就職?嘘をつけ。貴様を雇おうものならその日の内に店の経営が傾きかねないぞ。
勇者
でも俺は決めたんだ。真面目になって働くんだって。
魔王
(おかしい。今日は完全にいつものテンションと違うぞ)
勇者
俺ももうガキじゃないし。それに長男だから家族の面倒も見ないといけない。
魔王
おいあまり真面目なことを言うな。明日世界が終わるんじゃないかと心配だ。
勇者
はは。世界が終わりそうになったらまた勇者に戻って食い止めるさ。
魔王
(お、おかしい。こんなマトモな奴は勇者じゃない!いつものアホみたいなテンションはどこへ行ったんだ……?)
勇者
髪も伸び過ぎてるから切らないとな。
魔王
おい勇者。
勇者
どうした。
魔王
じ、じ、実は今パンツをはいていないんだ!
勇者
……え?
魔王
(どうだ喰いつくか?)
勇者
いくら初夏だからって油断してたら風邪引くぞ。
魔王
(おかしい!いつもなら「確かめさせろ!」とか言って強引に来るのに……!)
勇者
自分を大切にしろよ。
魔王
そ、それとだな。えっと。
勇者
はっはっは。はっきり喋らないと就職面接で落とされるぞ。
魔王
じつは私……、ブラジャーも着けてないんだ。
勇者
何やってんだよ。俺の上着貸してやろうか?
魔王
(私を気遣った!?)お前!頭でも打ったんじゃないのか?
勇者
打ってねーよ。
魔王
(見くびっていた……!就職活動とやらはここまで人を変えてしまうのか)
全く信じていなかったが本当に真面目になったのだな。
勇者
最初からそう言ってるだろ。
魔王
就職をしたら貴様が魔王城に回数も減るだろう。お前の顔を見なくて済むと思ったら清々(せいせい)する。
勇者
そーかい。
魔王
でも、少しさみしい気もするかな……。
お別れは言っておこう。
勇者
なんで?
魔王
なんでって貴様が就職をするから……。
勇者
うん。だから就職面接を受けに来たんだよ。
魔王
……は?
勇者
失礼します!
魔王
もう向き合ってる!いや待てどういう事だ!
勇者
だからこの魔王城で雇ってもらおうと思って。
魔王
雇うわけなかろう!
勇者
はい!志望理由は魔王さんに性的な魅力を感じたからです!
私が入社したあかつきには魔王さんに性的な
魔王
それ以上言うな!
勇者
ところでお前さっきノーパンって言ってたよな。
魔王
ち、違う!あれは!貴様が正気かどうか試すために……!
勇者
俺もだよー!
魔王
ふざけるな!
勇者
ブラジャーはしてるけど!
魔王
アンバランスか!!
勇者
入社したら魔王さんの下着を選ぶ仕事がしたいです!
魔王
そんな仕事はない!
勇者
もしくは魔王さんと一緒にお風呂に入る仕事がしたいです!
魔王
もっと無いわ!
勇者
じゃあ風呂場で性的なマッサージを施す仕事を!
魔王
じゃあってなんだ!完全にソープじゃないか!
勇者
ソープ「魔王城」
魔王
魔王城でシリーズ化するのをやめろ!
勇者
ねえお願い!なんでもするから!肩揉んだり胸揉んだりするから!
魔王
貴様さっきから私にセクハラを働くことしか考えていないではないか!
勇者
はい!一生懸命がんばって(セクハラを)働きます!
魔王
ああもう!少しでも貴様を見直して損したわ!帰れ!
勇者
不合格か……。じゃあこのブラジャー返すわ。
魔王
私のだったのか!?
終わり
お読みいただきありがとうございました!