遺跡調査 4 勇者と闇魔道士と狂戦士のショートコント 3 ワカメ
――勇者たちはエルフの魔道書を探しに遺跡の調査を進めていた!
勇者
「うわわわわわ! 今度は水が浸水して来たぞ!」
狂戦士
「おっ、海開きか?」
勇者
「そんなワケあるかぁ!」
狂戦士
「せっかくスカイ持って来たのによお」
勇者
「そのデカい球体をどこに隠し持ってたんだよ!」
――どんどん水かさが増していく!
闇魔道士
「こんな時に冷静さを失えば生存率が下がるばかりだ。落ち着け勇者」
勇者
「闇魔道士!」
闇魔道士
「落ち着いて祈るのだ! ワカメになれますようにワカメになれますようにワカメになれますように」
勇者
「お前が一番動揺してんじゃねえか!!!」
狂戦士
「へっ、このくらいで慌てるなんて情けねえ奴らだ」
勇者
「うるせえスイカ野郎!」
狂戦士
「こんな時はポジティブ思考だ!」
勇者
「しかも精神論かよ!」
狂戦士
「やったー! これでオシッコ漏らしてもバレないぞー!」
勇者
「フゥぅウウウ! ポジティブゥウウウウウウ↑↑↑」
水の精霊
「勇者よ。ヤケクソになる前に妾を頼るのじゃ」
勇者
「いやお前は一番張り切っちゃダメだから! じっとしてろ!」
――水の精霊の力によって、すごいスピードで浸水が進み始めた!
勇者
「ゴボボオ! うわっぷ! 二人とも無事か!」
狂戦士
「スイカが浮きの代わりになったぞ」
勇者
「ずるい! 闇魔道士は無事か!」
――闇魔道士はワカメになっていた!
勇者
「わあ、願いが叶ったんだね☆」
水の精霊
「おい勇者、天井に穴が空いているぞ」
勇者
「本当だ! あそこから出よう!」
***
狂戦士
「だだっ広い部屋に出たな。あっちに馬鹿でかい石像も立ってるぜ」
勇者
「ここはもしや、魔導書が置いてあると言われる王の間か……?」
石像
「よく来たな、人間ども。貴様らの狙いはこの魔道書であろう?」
ワカメ
「石像が喋っただと!?」
勇者
「なにこの絵面」
狂戦士
「おいデカブツ。さっさと魔道書をよこしやがれ」
石像
「ふっ。そんなに欲しくば、ワシをこの場所から一歩でも動かして見せろ!」
狂戦士
「じゃあこの大剣でぶっ壊す」
石像
「やめろ! 痛いの禁止! 痛いの禁止だからな!」
勇者
「歯医者に来た子供か」
狂戦士
「よしスイカぶん投げようぜ」
石像
「ちょっ、やめ」
狂戦士
「ついでにワカメも」
勇者
「それ闇魔道士!!」
石像
「いやあ! ヌルヌルするう!」
勇者
「おい水の精霊、ぶっ放せ」
水の精霊
「任せるのじゃ!」
石像
「ちょ、いやっ! ピャーッ!」
――水の精霊の攻撃により石像は倒れた!
石像
「うぅ……痛い……」
勇者
「女子か」
石像
「なんでこんな酷いことするの?」
勇者
「お前が動かせって言ったんだろうが」
ワカメ
「さあ魔道書を渡してもらうぞ」
勇者
「お前いつまでワカメなの?」
石像
「魔道書ならお前らのせいでビッシャビシャになってしもうたわ!」
狂戦士
「……」
勇者
「……」
ワカメ
「……」
水の精霊
「じゃあみんなでワカメを食べるのじゃ!」
勇者
「そうだね!」
おわり
お読みいただきありがとうございました!