勇者が勇者になった理由
※勇者Bのお話です。
魔法使い
「そういえば勇者さんはなんで勇者さんになろうと思ったんですか?」
勇者
「その言い方だと俺が元々俺じゃない何かだったかのように聞こえるんだけど」
魔法使い
「じゃあ勇者さんはどうして私を好きになったんですか?」
勇者
「なってねーよ」
魔法使い
「それで、勇者さんはどうして勇者になったんですか?」
勇者
「それはだな……」
――勇者の回想!
勇者の父
「おいロラン! いい加減、剣を振り回すのをやめなさい!」
※ロランは勇者Bの本名
勇者
「嫌だ! 俺は絶対勇者になるんだ!」
勇者の父
「それにその傷はなんだ? お前また街でケンカをしてきたな!」
勇者
「うるさい! そんなの俺の勝手だろ!」
勇者の父
「ロランよ。お前が年頃で父さんに刃向かいたくなる気持ちもよく分かる。だけど父さんはお前に仕事を継いでほしい。そして安定と幸せを手に入れて欲しいんだ」
勇者
「父さんの仕事を継いでまでそんなものは欲しくない! 俺は絶対に勇者になるんだ!」
勇者の父
「そんな危ない事はさせない! いいからその剣を置きなさい!」
勇者
「嫌だよ!」
勇者の父
「どうしてそこまで拒むんだ!」
勇者
「だって父さんの仕事は踊り子じゃないか!!!」
勇者の父
「踊り子の何が悪い!」
勇者
「いや中年男性が踊りながら脱いでたら気持ち悪いだろ! まるで豚の交尾を間近で見せられてる気分だよ!!」
勇者の父
「いいから父さんと踊りの練習をするんだ!」
勇者
「絶対にいやだ!」
勇者の父
「ほらこの露出度99%の服を着なさい」
勇者
「カカオチョコレートか!! もう止めてよこんな恥さらし!」
勇者の父
「仕方ないだろ! 元々踊り子の母さんが出て行っちゃったんだから! 母さんの踊りを待ってる人がいるんだよ!」
勇者
「そもそも母さんは脱いでなかったじゃんか! ……父さんはさ、父さんが街でなんて呼ばれてるか知ってる?」
勇者の父
「ほう何と呼ばれているんだ?」
勇者
「踊るぜい肉!」
勇者の父
「!」
勇者
「悪夢のような中年男性!」
勇者の父
「!!」
勇者
「のたうち回る瀕死のトド!」
勇者の父
「!!!」
勇者
「俺が街でケンカする羽目になったのも父さんのせいで絡まれるからだよ! この呪いのトドめ!!」
勇者の父
「で、でもお客さんは入ってるから!」
勇者
「全部ゲイだよ!!」
勇者の父
「!」
勇者
「それも全員わりと特殊なゲイだよ!!」
勇者の父
「面白いじゃないか!」
勇者
「面白くねえよ!!!」
勇者の父
「仕方ないだろ! 父さんは踊り子を辞めたら、ひたすらスライムを食べる仕事に戻らないといけないんだから!」
勇者
「アンタ本当にろくなことしてねえな!」
おわり
お読みいただきありがとうございました!