遺跡調査 2 勇者と闇魔道士と女騎士のショートコント 5
――勇者たちは再び遺跡調査の任務に赴いていた!
勇者
「よし、今度こそ川を越えるぞ」
闇魔道士
「その言い方だと川を越えることが最終目標みたいだが」
勇者
「今回、魔法使いは来てないんだな」
闇魔道士
「もう当分は魚を食べたくないから行かないと言っていたぞ」
勇者
「別にお魚グルメツアーじゃないんだけどね」
闇魔道士
「それで今回はどうやって川を渡るんだ?」
勇者
「ふっ、聞いて驚け。俺は船大工に弟子入りして船の作り方を習って来たんだ!」
闇魔道士
「流石だ勇者! これで川を渡れるぞ!」
勇者
「あれ? そういえば一緒に来てた女騎士はどこだ?」
闇魔道士
「奴は釣りをしてくると言っていた」
勇者
「じゃあ食料のことは女騎士に任せて、俺たちだけで船を完成させるぞ!」
――六時間後!
勇者
「はあはあ、やっと出来た……」
闇魔道士
「疲れた……腰が痛い……」
女騎士
「おーい、みんなー」
勇者
「遅いぞ女騎士。もう船が出来ちまった」
女騎士
「上流の方に橋があったぞー」
勇者
「…………」
闇魔道士
「…………」
――三人は橋を渡ることにした!
勇者
「しかしこの橋は誰が作ったんだろうなあ」
???
「ウゴクナ」
勇者
「誰だ!」
???
「我々ハ、ンサホッサ族。ヨソ者ハ、排除スル」
闇魔道士
「どうやら我々は囲まれているようだぞ」
女騎士
「おっほ! くっころだ! くっころ状態だ!」
勇者
「なんで楽しそうなんだよ! えーっとンサホッサ族の人? なんで俺たちを殺そうとするんだ?」
ンサホッサ族
「我々ハ、侵略者ニヨッテ土地ヲ奪ワレ、食料モ減リ、コノママダト全滅シテシマウ」
女騎士
「まさにくっころ状態だな」
勇者
「悔しいけど正しい使い方だ」
ンサホッサ族
「オマエ達ヲ殺シテ食料二シテヤル!」
勇者
「くそっ! 戦いながら逃げるしかねえ!」
女騎士
「くっころ!!!」
――女騎士のくっころはジャングルに響き渡りました。それはまるで一陣の風。もしくは発情した野鳥の声のようでした。
女騎士
「くっころ。それは『くっ殺せ』の略。即ち生きて辱めを受けるくらいなら死を選ぶという気高き精神。くっころ。それは意思を突き通すという強固な覚悟」
ンサホッサ族
「クッ……コロ……」
女騎士
「そうだ。侵略者に土地をやるくらいなら死ぬ気で戦う。それこそが『くっころ道』だ!」
勇者
「くっころがいつになく無限の広がりを見せている!」
ンサホッサ族
「クッコロ……クッコロ! クッコロ!」
女騎士
「私たちも力を貸す! 全員で侵略者どもを打ち破るのだ! なあ勇者!」
勇者
「え? あ、はい(この状況で断れるわけがねえ……)」
ンサホッサ族
「うおおおおおお!!! クッコロオオオオオオ!!!」
――こうして女騎士たちは侵略者たちを打ち破りました。
女騎士たちは神話となり、クッコロ神話として末長く語り継がれる伝説となったのです。
勇者
「何これ」
終わり
この世の万物は形をもつが、その形は仮のもので、本質は空っころであり、不変のものではない。
即ち色即是空っころ也。
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