遺跡調査 1 勇者と魔法使いと闇魔道士のショートコント 12 川を渡ろう
――勇者たちはギルドの依頼を受け、とある遺跡を目指していた!
勇者
「うーん、遺跡にたどり着くためにはこの川を越えないといけないな」
闇魔道士
「この川には人を喰う魚がうじゃうじゃ生息してるらしいぞ」
魔法使い
「本当ですかね。勇者さん、ちょっと川に入ってきてくださいよ」
勇者
「いやだよ! 完全に人柱じゃねえか」
水の精霊
「勇者! これを見ろ!」
――水の精霊のそばでは裸のおっさんがピッチピチはねている!
勇者
「なんでお前はどの場所でもおっさん釣ってくるの?」
魔法使い
「まあでもこれで実験台が」
勇者
「おいやめろ何考えてんだ!」
魔法使い
「なんで止めるんですか勇者さん」
勇者
「いや本当にこのおっさん落として骨になったらシャレにならんだろうが!」
おっさん
「アー! さすが勇者じゃ。ワシをお嫁さんにしてくれ!」
勇者
「よし落とそうぜ」
魔法使い
「はーい」
おっさん
「いやあああああああ!」
――おっさんは喰われて魚の骨になっていく!
魔法使い
「本当に魚だったんですね」
魚の骨
「アー!」
勇者
「お前だと思ったわ」
魚の骨
「見つけたぞ貴様ら! 今度こそ味噌煮込みに」
魔法使い
「もう一回川に落としますね―」
魚の骨
「ぎゃああああ! 鬼! 悪魔!」
――魚の骨はみるみる魚の骨になっていく!
勇者
「不変の真理か」
魔法使い
「でもどうします? 本当に人喰い魚いるみたいですよ」
闇魔道士
「そろそろ日も暮れる。今日はその魚を釣って晩メシにしよう」
魔法使い
「持ってきた鶏肉をちぎって餌にしましょう」
闇魔道士
「うおお! 入れ食いだ! 大漁だ!」
勇者
「宴だ!」
――次の日
勇者
「さて、どうする?」
魔法使い
「船を作るのがいいんじゃないですか?」
闇魔道士
「誰か船の作り方を知っているか?」
一同
「「「……」」」
闇魔道士
「そろそろ腹が減ってきたな」
勇者
「よし、じゃあ昨日の魚の残りを餌にして釣ろう」
闇魔道士
「やっぱり入れ食いだ!」
勇者
「宴じゃあ!」
――10日後
闇魔道士
「宴だ!」
勇者
「宴じゃあ!」
魔法使い
「ちょっと待ってください皆さん。私たち何か大切なことを忘れてませんか?」
闇魔道士
「気のせいだろう?」
勇者
「いや、俺も薄々気づいていたさ……」
魔法使い
「勇者さんもですか」
勇者
「俺たちには圧倒的に野菜が足りていない!」
魔法使い
「そうですよね! このままだと生活習慣が偏ってしまいます!」
闇魔道士
「木を切り倒して畑を作ろう」
勇者
「その木を使って家を建てよう」
魔法使い
「放牧も始めましょう」
勇者
「いっそ町を作ろう!」
――こうして勇者たちは一ヶ月後、ギルドメンバー達に連れ戻されるまで街づくりに勤しんでいた。
おわり
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