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勇者と魔王のショートコント 天

勇者

よう魔王。


魔王

帰れ。殺すぞ。


勇者

なんだよ辛辣(しんらつ)だな。今日はせっかくお前にお土産(みやげ)を持ってきてやったというのに。


魔王

()らん。貴様のお土産なんぞロクでもないものに決まっているからな。


勇者

ほおら。魔王の大好きな牛乳だよお?


魔王

要らんわ!怪しすぎる!


勇者

勇者印の牛乳だよお?勇者さんのミルクだよお?


魔王

その言い方をやめろ!絶対よくない物が入ってるに違いない!


勇者

失敬な!この勇者のミルクは100%勇者のミルクだ!


魔王

だからその言い方をどうにかしろ!


勇者

なんで?


魔王

え?い、いや、だから、貴様のミルクという言い方はだな、別のものを連想してしまうというか……。


勇者

この下ネタ大魔王があ!!!


魔王

誰が下ネタ大魔王だ!


勇者

まったく、俺には下心なんて微塵(みじん)も無いというのに。


魔王

(うそ)をつけ!


勇者

じゃあ早速これを飲みほして「勇者様のミルクとっても美味しかったです」と言え。


魔王

誰が言うか!

やっぱり下心じゃないか!


勇者

そんなに嫌?


魔王

そんなに嫌だ。


勇者

じゃあ次に俺が出すお題をクリア出来たら飲まなくていいよ。


魔王

貴様にしかメリットがないではないか!


勇者

いくぞ。先ず「勇者様のミルクを飲ませてください!」と10回言うんだ。


魔王

10回も何を言わせる気だ!


勇者

じゃあ11回でもいいよ?


魔王

なんで増えるんだ!


勇者

早く言えよ下ネタ大魔王。


魔王

だああああああ!この腐れ外道があ!誰が貴様のミルクなんぞ飲むものか!この場で汚い牛乳もろとも消し飛ばしてくれるわ!!


勇者

落ち着け魔王。すぐキレるのはカルシウムが不足している証拠(しょうこ)だ。


魔王

だからどうした!!


勇者

だから俺の牛乳を!


魔王

どれだけ飲ませたいんだ貴様は!!


勇者

だってお前この前「早く夏にならないかなあ」って言ってたじゃねえか!


魔王

だからどうした!


勇者

俺のミルクを!


魔王

何も(つな)がってない!


勇者

繋がっているさ!夏といえば海!海といえばサーフィン!サーフィンと言えばサーファー!そしてサーファーはサメに食われてサメのフンになって海に排泄(はいせつ)され、それをプランクトンが分解することによってデトリタスへ。水中のデトリタス食者によってさらに食べれることによって早く俺のミルクを飲め!!!


魔王

せめて話を繋げよ!!!


勇者

どうしても俺の牛乳を飲みたくないようだな。


魔王

当たり前だろう。


勇者

じゃあしょうがない。牛乳を飲んでもらうのは諦めよう。


魔王

ふう。やっと諦めたか。


勇者

代わりにこのホットミルクを……。


魔王

同じではないか!


勇者

違う!これは(しぼ)りたてなんだ!


魔王

どこに牛がいるんだ!?


勇者

うん、これはね、俺がさっき魔王の寝室(しんしつ)でね……。


魔王

それ以上言うな!



終わり


お読みいただきありがとうございました!

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