勇者と調合師のショートコント 3 昼寝
調合師
「勇者、ちょっといい?」
勇者
「どうした?」
調合師
「これからお昼寝をするから手伝ってほしいの……」
勇者
「いや手伝うも何も、昼寝って自己完結するもんだろ」
調合師
「ベッドの横で応援してくれるだけでいいの……でもそれだとうるさくて眠れないわね。勇者、もう帰っていいわよ」
勇者
「そこじゃねえよ自己完結するところ」
調合師
「それはさておき、見たい夢を見るためにはどうしたら良いのかしら……?」
勇者
「うーん、例えば好きな人の夢を見たいんだったら枕元に肖像画を置いとくとか……、ちなみにどんな夢を見たいんだ?」
調合師
「勇者が泣きながら松ぼっくりを拾ってる夢……」
勇者
「俺は夢の中でどんな罪を犯したの!?」
調合師
「どうすれば見られるかしら……?」
勇者
「いや、どうせならもっと楽し気な夢の方が良いんじゃないか?」
調合師
「じゃあ勇者が笑いながら松ぼっくりを食べている夢」
勇者
「さっきからなんで俺と松ぼっくりの絡みしか出てこないんだよ!」
調合師
「じゃあ勇者が松ぼっくりに喰い殺される夢……」
勇者
「B級サイコホラーか! なんでお前の夢で俺は常に被害者なんだよ!」
調合師
「じゃあ勇者はどんな夢を見てみたいの……? どうせ私といやらしい事したいとか考えてるんでしょうけど……」
勇者
「何その自信。そうだな、やっぱ魔王を倒してる夢が見てみたいな」
調合師
「まさに夢のまた夢ね……」
勇者
「やかましいわ」
調合師
「はあ、実は最近見た中でどうしてももう一度見たい夢があるの……」
勇者
「どんな夢なんだ?」
調合師
「まず勇者と闇魔道士の濃厚なラブシーンから始まるの……」
勇者
「ナニと絡ませてくれてんだお前は!?」
調合師
「そこにギルドマスターがやって来て……」
勇者
「これ以上どう汚くするつもりなんだ!?」
調合師
「そこに狂戦士も飛び込んで……」
勇者
「闇鍋か!!!」
調合師
「4人はフンドシを頭に巻いて踊り狂うのよ……」
勇者
「何の祭りだ!?」
調合師
「そしてその飢えた四人に、私が松ぼっくりを食べさせるっていう夢……」
勇者
「……お前の思考の闇を垣間見た気分だわ」
調合師
「ふぁ……、勇者の顔を見てたら眠くなってきたわ……」
勇者
「おい誰が催眠フェイスだ」
調合師
「zzz……」
勇者
「待て、ここ俺の部屋だぞ。あー、でも俺も眠くなってきた……」
***
魔法使い
「勇者さん入りますよー。いつも通り勝手に入りますねー」
――そこには二人仲良くベッドで寝ている勇者と調合師の姿が!
魔法使い
「さて、勇者さんのお尻に松ぼっくり何個入るかなー」
おわり
お読みいただきありがとうございました!