勇者と魚の骨のショートコント 買い物
――勇者は買い出しに来ていた!
勇者
「ギルドには色んな店があるなぁ」
魚屋
「兄ちゃん兄ちゃん! いい魚が入ってるよ!」
勇者
「へー、どんな魚?」
魚屋
「手と足が生えてるんだ!」
勇者
「それ魚じゃねえよ!」
魚の骨
「ア――!」
勇者
「……やっぱお前か」
魚の骨
「勇者よ、久しぶりじゃな」
※第8部 勇者と魔法使いと闇魔道士のショートコント 参照
勇者
「おおよそ一年ぶりだな」
魚屋
「そちらお買い上げで?」
勇者
「いやいらないよ。食べられないし」
魚の骨
「なんじゃと! ワシがいらないじゃと!」
勇者
「え? そこ怒るところ?」
魚の骨
「許さんぞ愚かな人間め! 魚たちよ、立ち上がるのじゃ!」
――魚屋中のすべての魚から手足が生えた!
勇者
「キモっ!!!」
――そんで勇者を追ってきた!
勇者
「うわわわわわ! なんで!? 俺そんな悪い事したの!?」
魚屋
「待てー! 魚泥棒―!」
勇者
「盗ってねえし! むしろ殺られそうだよ!」
魚の骨
「あの人間を捕らえろ! 捕らえて味噌煮込みにしてやるのだ!」
勇者
「さらっと恐ろしい事言ってる!!」
水の精霊
「勇者よ、こんな時こそ妾を頼るのじゃ」
勇者
「そうだ! いけ! 水の精霊!」
――水の精霊の攻撃!
――魚たちは元気になった!
勇者
「逆効果じゃねえか!」
水の精霊
「うん、まさに水を得た魚じゃな!」
勇者
「うまいこと言ってる場合か!!」
魔法使い
「あれ? 勇者さん、そんなに急いでどうしたんですか? そんなに私に会いたかったんですか?」
勇者
「魔法使い! ちょうど良かった! 今手足の生えた魚たちに追われてるんだよ!」
魔法使い
「頭を強く打ったんですか勇者さん?」
勇者
「本当なんだってばあ!!」
――後ろから手足の生えた魚たちが迫って来た!
勇者
「ほら来た!」
魔法使い
「えいや、スタンガン魔法」
勇者
「それ魔法じゃないだろ!!」
魚たち
「ぎょあああああああああああ!」
勇者
「めっちゃ効いてる!」
魔法使い
「アハハ! 無様な声ですねえ! もっと泣きなさい! もっと苦しそうに泣き叫べ!!!」
勇者
「(魔法使い怖っ!)」
――魚たちは動かなくなった!
勇者
「た、助かった……」
魔法使い
「で、この魚の骨どうしましょう」
魚の骨
「くっ! これで終わりだと思うなよ! いずれ第二第三の魚たちが貴様らの食卓に並ぶこととなるだろう!」
勇者
「食われる一方じゃねえか」
魔法使い
「一年ぶりに踏み潰しますねー」
魚の骨
「ア――」
勇者
「たぶん死なないんだろうなあ……」
魚屋
「おい兄ちゃん! この魚の山どうしてくれるんだ!」
勇者
「え? で、でも俺は魚に追われてただけだし……。なあ魔法使い」
――魔法使いは逃げ出した!
勇者
「待って!」
魚屋
「兄ちゃんの体で払ってもらおうか」
勇者
「!?」
おわり
お読みいただきありがとうございました!