勇者と女騎士と占い師のショートコント
――勇者と女騎士は買い出しのため街へ出ていた!
女騎士
「ん? おい勇者、あそこに黒塗りの建物があるぞ」
勇者
「ああ、あれは占いの館だな。占い師のおばあちゃんが占ってくれるんだ。けっこう当たるらしいぞ」
女騎士
「ほう、それはくっころ面白そうだな!」
勇者
「行ってみるか?」
女騎士
「うーん、しかしあれだな」
勇者
「どうした?」
女騎士
「男女二人で占いの館に入るとなると近いうちに心中するカップルみたいだな」
勇者
「その死ぬほど不吉な例えやめてくれない?」
――占いの館の中!
占い師
「ようこそ占いの館へ……。ヒッヒッヒ。ヒーッヒッヒッヒ。ヒーヒー」
女騎士
「なあ勇者、あの人笑いすぎじゃないか?」
勇者
「気にするな。あの婆さんよく分からないところでツボるか」
占い師
「ヒーッヒッヒッヒ! ヒッヒッフー!」
勇者
「ラマーズ法始めよった!」
女騎士
「そろそろ占ってもらえないだろうか」
占い師
「すまんすまん。お主らは夫婦かえ」
女騎士
「違う、まだくっころだ」
勇者
「まだって何だよ」
占い師
「ほう、心得た」
勇者
「何をだよ」
占い師
「では女の方から占ってやろう。……ホイシャー! 見えたぞ! お主の未来が!」
女騎士
「おお! どうなるんだ」
占い師
「お主には近いうちに大きなターニングポイントが訪れるであろう」
女騎士
「ターニンくっころポイントだと!?」
勇者
「もう厄年だろそれ」
占い師
「さて、次は男の方を……、むっ! むむむ!」
勇者
「え? ど、どうしたんですか?」
占い師
「いかん! お主には悪霊がベタついておる!」
勇者
「油汚れか」
占い師
「しかもフルチンで!」
勇者
「きたねえ!」
女騎士
「勇者のくっころポイントが積み上がって行く!」
占い師
「いかんぞ! 早く除霊をせねば大変なことになるのじゃ!」
勇者
「いやアンタ霊媒師じゃなくて占い師だろ!」
占い師
「こうしてはおれん! 除霊するためには醤油を10リットル一気飲みするしかない!」
勇者
「殺す気か!?」
女騎士
「醤油10リットル用意してきたぞ」
勇者
「お前も協力すんな!」
占い師
「さあ飲め!」
勇者
「嫌だよ!」
占い師
「早くしないと三日間下痢することになるぞ!」
勇者
「そっちの方がいいわ!」
占い師
「強情な奴め! ではお主にこの水晶をやろう」
勇者
「除霊グッズか?」
占い師
「それを尻に突っ込め!」
勇者
「出来るかぁ!」
女騎士
「頑張れ勇者! お前なら出来る!」
勇者
「出来ねぇよ!」
占い師
「どうしてもと言うならこの木の棒でも良いぞ」
勇者
「突っ込みたいだけだろお前ら!!!」
おわり
お読みいただきありがとうございました!