勇者とギルドマスターのショートコント 物件探し
勇者
「というわけで5人で住める空き家ってありますか?」
ギルドマスター
「そういうと思って勇者くん達にピッタリの空き家をピックアップしておいたよ!」
勇者
「えっ? 本当ですか」
ギルドマスター
「この豚小屋なんてどうかな?」
勇者
「はっ倒すぞ」
ギルドマスター
「冗談だよ冗談! ちゃんとした物件も用意してるから!」
勇者
「本当ですか……?」
ギルドマスター
「本当さ! この御屋敷なんてどうかな」
勇者
「いやぁ、でも御屋敷を買うってなるとすごい費用が掛かるんじゃないですか?」
ギルドマスター
「そんなことないよ! ちょっと町はずれの山の麓にあるから格安で売りに出されてるんだ!」
勇者
「え? そうなんですか? うーん、でもなぁ」
ギルドマスター
「どうしたの?」
勇者
「そういう御屋敷って幽霊とか出そうじゃないですか。ははは」
ギルドマスター
「うんうん! めっちゃ出る!」
勇者
「軽いな! 頭のフケか!」
ギルドマスター
「イヤほんと、すっごい出るよ幽霊!」
勇者
「なんでちょっと楽しそうなんだよ!」
ギルドマスター
「なんたって墓近物件だからね!」
勇者
「なに墓近って!? 駅近みたいに言わないで!」
ギルドマスター
「ありゃ、お気に召さない?」
勇者
「幽霊はちょっと……」
ギルドマスター
「じゃあこの広い庭がある物件なんてどうだろう?」
勇者
「庭が広いのはいいですね。で、家の方は?」
ギルドマスター
「無いよ?」
勇者
「無ぇのかよ!」
ギルドマスター
「でも一面に草が青々と茂ってるんだ!」
勇者
「ただの原っぱじゃないですか!」
ギルドマスター
「わがままだなぁ勇者くんは。そんなんだから乳離れ出来ないんだよ」
勇者
「いや何の言いがかりだ!?」
ギルドマスター
「じゃあこの物件なんてどうだろう。なんと窓付き! 柱アリ!」
勇者
「それ無かったら家じゃないですからね!?」
ギルドマスター
「そして屋根なしのシンプルな設計!」
勇者
「欠陥住宅じゃねーか!」
ギルドマスター
「でも雨が降ったら水が溜まって楽しいよ! ハハハハハ!」
勇者
「何が面白ぇんだよ!」
ギルドマスター
「じゃあこの二階建てアパートとかどう?」
勇者
「アパートて。もういろんな意味でファンタジーだわ」
ギルドマスター
「住みやすいと思うよ? 一人一部屋借りればパーソナルスペースは確保できるし」
勇者
「まぁ家賃が安ければ……」
ギルドマスター
「それに何たってこの前自殺があったばっかりだからね!」
勇者
「バリバリ事故物件じゃねーか! どこに住まわせようとしてくれてんだ!」
ギルドマスター
「なんと死体も死にっぱなし!」
勇者
「ラリってんのかアンタ!?」
ギルドマスター
「しかも、ちょうど5人死んだんだ」
勇者
「祟りじゃあ!!!」
おわり
お読みいただきありがとうございました!
今回ギルドマスターは勇者をからかっているだけで、普段はナイスなオジサンです。