勇者と魔法使いと闇魔道士と調合師と女騎士のショートコント 4 物件探し
勇者
「しかしギルドに住むとなると物件を探さないといけないな」
魔法使い
「勇者さんは私と愛の巣を営むんですよね?」
勇者
「お前と二人で住んでたら三日目には事故物件になりそうだからやめとくわ」
闇魔道士
「我はしっかり広いキッチンとカウンター席のある家を所望する」
勇者
「店でも開くのか?」
女騎士
「私はくっころ力の高い家に住みたいな!」
勇者
「住んでたら『くっころくっころ』って聞こえてきそう」
調合師
「私は誰かが代わりにご飯を作ってくれて、誰かが代わりに家の掃除をしてくれる家がいい……」
勇者
「誰なんだよ」
女騎士
「……ふと思ったんだが、私たちはいつでもくっころだったじゃないか」
勇者
「おい魔法使い、通訳してくれ」
魔法使い
「『我々はいつでも寝食を共にしてきた』と言いたいようです」
女騎士
「だがこの街ではくっころになってしまうと思うと少しくっころだな」
勇者
「お前症状悪化してないか?」
魔法使い
「『でもこの街ではみんな別々に住むことになると思うと少し寂しい』と言っているようです」
勇者
「今更だけどなんで魔法使いは女騎士の言ってることが分かるんだ」
魔法使い
「いえ分かりませんよ?」
勇者
「分かってなかったのかよ!?」
魔法使い
「はい。適当に訳してただけです」
勇者
「ええ!?」
女騎士
「しかし魔法使いは私の言いたいことをちゃんと通訳してくれたぞ」
勇者
「要は魔法使いの勘が鋭いのか……?」
魔法使い
「まぁ別に離れて暮らすことになっても良いんじゃないですか? 同じ街にいるわけですし、殺しに行きたいと思ったらすぐに実行できる距離ですから」
勇者
「死ぬほど物騒な例えだな」
闇魔道士
「しかし別々に住むとなると家賃がかさむな」
勇者
「じゃあ闇魔道士、しばらく俺と一緒に住まないか? そしたら家賃も抑えられるだろ」
闇魔道士
「やはり貴様はそっちの方か!」
勇者
「え?」
闇魔道士
「我が寝ている間に勇者が枕元に来て朝まで無言で立っていたのは夢では無かったのだな!」
勇者
「それ幽霊だよ」
闇魔道士
「!?」
調合師
「私も勇者たちと一緒に住みたい……」
勇者
「え? どうして?」
調合師
「だって闇魔道士のご飯を食べられなくなるのは無理……」
闇魔道士
「ふん、それなら仕方ないな」
魔法使い
「ちょっと何勝手に決めてるんですか! 駄目に決まってるでしょ!」
闇魔道士
「貴様も一緒に住めば良いのでないか」
魔法使い
「そこまで言うなら一緒に住んであげますよ!」
勇者
「ちょろい」
女騎士
「ずるいぞお前ら! 私もくっころ!」
勇者
「なんだ女騎士も一緒に住みたいのか」
魔法使い
「いいえ、違います勇者さん」
勇者
「違うってお前、今まで適当に翻訳してたんだろうが」
魔法使い
「『勇者は今すぐ魔法使いと結婚しないと3日以内に死ぬ』と女騎士は言っています」
勇者
「何の呪いだ!」
――こうして5人で一緒に住める物件を探すことになった!
おわり
お読みいただきありがとうございました!