勇者と魔法使いと闇魔道士のショートコント4
勇者
ヒーラーが欲しい。
闇魔道士
どうした藪から棒に。
魔法使い
そうですよ。私という魔法使いがいながらヒーラーが欲しいとは何事ですか。
闇魔道士
聞けばこのパーティーには元々ヒーラーが居たらしいではないか。
勇者
居たんだけどさ……。
魔法使い
どこへ行ったんでしょうね。
勇者
お前が脅すから逃げちまったんだろうが!
魔法使い
だってあの女、勇者さんに色目使うんですもん。
闇魔道士
で、どうして急にヒーラーが欲しいと?
勇者
お前がメタルスライム戦で死にかけたからだよ。あの時たまたま別のパーティーが通りかかったから良かったけど、下手すりゃ死んでたからな。
闇魔道士
我は死など恐れぬ。死ねば我が魂は闇に帰す。それだけのことだ。
魔法使い
試しに死んでみますか?
闇魔道士
やめて!まだ死にたくない!
勇者
そういうわけで今度ヒーラーを仲間にするためにギルドの掲示板で募集をしようと思うんだ。
魔法使い
ちゃんと募集要項に「女不可」って書いといてくださいね。
勇者
なんでだよ。
闇魔道士
あと「料理経験者優遇」と書くのだ。
勇者
ヒーラー関係ねえ!
闇魔道士
もしくは「食材優遇」と。
勇者
人間が欲しいんだよ俺は!
魔法使い
能力も大事ですけど寝食を共にするんですから性格も大事ですよね。
勇者
うんそれはお前を仲間にした時死ぬほど後悔したから分かってる。
闇魔道士
どんな性格なら良いのだ?
勇者
そうだな。優しくて、芯が通ってて、明るくて、俺が落ち込んでたら励ましてくれて、でもどこか儚くて……。
闇魔道士
それは貴様の異性への願望ではないか。
魔法使い
そうですよ。しかもその条件に全て当てはまる私がここにいるじゃないですか。
勇者
ははっ。
闇魔道士
しかしこんな変人ばかりのパーティーに入りたがる奴がいるとは思えんがな。
勇者
自分で変人って分ってるんだな。
魔法使い
私だけはマトモですけどね。
勇者
ははっ。
闇魔道士
コチラから求めるだけでは良い人材は来ないだろう。良い待遇を考えねば。
魔法使い
私という魅力的な魔法使いと一緒に冒険できることが最高の待遇ですよ。
勇者
お前いい加減にしろよ。
待遇は「まかない」付きって書こうと思ってる。
魔法使い
なんかバイトの待遇っぽいですね。
闇魔道士
そうだな、後は「闇魔法免許取得補助」など書くのはどうだ。
勇者
何だその資格は。あとヒーラーに闇魔法を教えるのはどうなんだ。
魔法使い
じゃあこの条件はどうですか!勤務時間8時~22時。残業あり。残業手当なし。
勇者
完全なブラック企業じゃねえか!
魔法使い
こき使われても文句を言わない優秀な奴隷ヒーラーが集まりますよ!
勇者
発想が完全に無能経営者だ!
闇魔道士
あと豚や牛など家畜の方には「非常食手当」が付きます。と書いておけ。
勇者
何を集める気なんだお前らは!
——なんやかんやで新メンバーの面接が決まった!
つづく
お読みいただきありがとうございました!