勇者と魔法使いと水の精霊のショートコント 2 旅行
魔法使い
「旅行に行きましょうよ勇者さん」
勇者
「旅行? いや魔王城への道のりが旅行みたいなもんだろ」
魔法使い
「はぁ、だから勇者さんは納豆菌って呼ばれるんですよ」
勇者
「呼ばれてねーよ」
魔法使い
「いいから二人っきりで旅行へ行きましょうよ」
勇者
「二人で?」
魔法使い
「そうですよ。くっころ女とか薬ガン決め女なんて放っておいて!」
勇者
「お前仲間になんてあだ名付けてんだ」
魔法使い
「なんですか、乗り気じゃないみたいですね」
勇者
「当たり前だろ。俺にとっては闇魔道士も調合師もくっころ女も大事な仲間なんだよ」
魔法使い
「へー」
勇者
「なんだよ」
魔法使い
「じゃあ勇者さん、みんながダンジョンへ潜っている間、私がどれだけ寂しい思いをしたか知っていますか?」
勇者
「うっ、それは……。あの時は悪かったと思ってるよ……」
魔法使い
「じゃあ旅行に行きましょうよ! 二人で!」
勇者
「いやちょっと待てって」
水の精霊
「とうっ! ここは妾の出番じゃな!」
勇者
「また出たな」
水の精霊
「旅行に行くのなら! それはもう勇者と妾の新婚旅行にするべきじゃ!」
魔法使い
「しっしっ! 勇者さんの身体から出て行きなさいこの悪霊」
水の精霊
「誰が悪霊じゃ! ふん、妾を追い出せるものなら追い出してみるがいい!」
魔法使い
「ノーマクサマンダ バザラダンカン!!! オンベイ シラマンダヤ ソワカ! ノーボータリツ ハラボリツ シャキンメイ シャキンメイ! タラサンダン カエンビイ ソワカぁああああ!!!」
勇者
「本当に凄い勢いで除霊はじめよった!」
水の精霊
「まぁもちろん精霊の妾にはノーダメージじゃがな」
魔法使い
「ところでこの古代ヘルニア遺跡とかどうですか勇者さん」
勇者
「行っただけでヘルニアになりそうな名前だな」
水の精霊
「妾は綺麗な海か湖がいい!」
勇者「やっぱ水の精霊は水場を好むのか」
水の精霊
「勇者を引きずり込めるからな」
勇者
「なに殺そうとしてんだよ!」
水の精霊
「たわけ。お主に水中の綺麗さを堪能させてやるのじゃ」
勇者
「窒息死するわ!」
水の精霊
「そうして水底に降り立った二人は愛を誓いあうのじゃ!」
勇者
「ところが俺は水死体になってるけどな!」
魔法使い
「そしてその水死体を私が引き取り……」
勇者
「俺が水死する前提で話進めんな!」
魔法使い
「そうだ。一番安く行けて二人で楽しめる旅行場所を思いつきましたよ勇者さん」
勇者
「どこだよ」
魔法使い
「あの世です」
勇者
「逝かねぇよ!!!」
おわり
お読みいただきありがとうございました!