勇者とモンスター学者のショートコント 2 人の痛み
モンスター学者
「私、モンスター図鑑を作ってるの」
勇者
「(急にタメ語になりよった)全部で151匹いるのか?」
モンスター学者
「ううん、もっと多いよ! この前もダンジョンで新種のスライム見つけたんだ!」
勇者
「どんなの?」
モンスター学者学者
「ひたすら『くっころ』『くっころ』って叫んでるの!」
勇者
「何それ怖い」
モンスター学者
「ほら、これ見て!」
――モンスター学者は懐から黄色いスライムを取り出した!
スライム
「くっころ! くっころ!」
勇者
「本当に『くっころ』って言ってる!」
モンスター学者
「これさ、ちょっと食べてみてもらっていいかな?」
勇者
「嫌だよ! 『お弁当作ってきました』みたいなノリで言うな!」
モンスター学者
「はあ、そんな事じゃ私の助手は務まらないわよ?」
勇者
「俺がいつから助手になったんだよ!」
モンスター学者
「ああ、ごめんなさい。久しぶりにモンスターの事で意気投合できる人がいたから興奮しちゃって」
勇者
「投合できてないんだが」
モンスター学者
「私、小さい頃からちょっと変わってて、あんまり友達が出来なかったの」
勇者
「ちょっと……?」
モンスター学者
「みんなからはずっと『地雷』って呼ばれてたわ」
勇者
「その頃からだったんだ」
モンスター学者
「でもいいの! 私は人に合わせるより、自分の好きなことをしていたいから!」
勇者
「俺もその方が人生楽しいと思う」
モンスター学者
「でしょ! さて勇者がいることだし、次はオーク種について調べたいなあ」
勇者
「調べるって言ってもどうやって?」
モンスター学者
「勇者に軽く掘られてきてもらうの!」
勇者
「嫌だよ!」
モンスター学者
「いいじゃない! 軽くなんだから!」
勇者
「何が軽くだよ! 人のケツを喫茶店みたいに言いやがって!」
モンスター学者
「だって私の場合だと色々と問題があるもの!」
勇者
「俺が掘られる方が絵面的に問題あるわ!」
モンスター学者
「えー」
勇者
「えー、じゃない」
モンスター学者
「じゃあどこまでならイケる?」
勇者
「どこまでも行かねーよ」
モンスター学者
「じゃあキスだけでいいから!」
勇者
「おいモンスター学者」
モンスター学者
「何?」
勇者
「お前は人の痛みが分かっていないからそんな事が言えるんだ」
モンスター学者
「えー。モンスターとキスするくらいどうって事ないよ!」
勇者
「じゃあお前、俺とキスする場面を想像してみろ」
モンスター学者
「うーん…………」
勇者
「……」
モンスター学者
「オロロロロロロッロロロオロロォ!!!」
勇者
「(吐いた!?)」
モンスター学者
「うう、ごめんなさい、もうあんな気持ち悪い事言いません……。うえええええ」
勇者
「なんか釈然としねぇ……」
おわり
お読みいただきありがとうございました!