勇者と悪魔のショートコント 魔界にて
――魔界にて
悪魔
「あー暇。そろそろ人間をいたぶりに行こうかしら」
勇者
「どうも勇者です」
悪魔
「あれ、こんなところに人間?」
勇者
「可愛い悪魔さん、これから僕とお茶しませんか?」
悪魔
「しないわよ。アンタどうやってここに入ってきたの?」
勇者
「どんな所でも入れるさ。俺は勇者だからな」
悪魔
「意味わかんないんだけど」
勇者
「冗談はさておき、俺はお前に用があるんだ」
悪魔
「用?」
勇者
「お前、一年前に教会で女の寿命を奪っただろう」
悪魔
「あー、あの墓好きのイカレ女ね」
勇者
「(悪魔にイカれてるとか言われてるぞ聖女……!)そいつの寿命を元に戻せ」
悪魔
「っていうかアンタ、悪魔の私に向かってなんでそんなに偉そうなの? なぶり殺したいんだけど」
勇者
「(きたきたー!)ふん、悪魔風情が俺に勝てると思うなよ」
悪魔
「はい決定。アンタは私の鞭で死ぬまで叩かれ続ける刑ね」
勇者
「鞭だと!!?」
悪魔
「ふん、そんなに目を剥いて怖がっても遅いわよ」
勇者
「鞭……ハアハア」
悪魔
「ふふ、恐ろしすぎて息も上がってるじゃない。私の鞭はどんなに意志の強い男でも一瞬で泣いて叫ぶ魔界特製品。生きて帰れるとは思わない事ね」
勇者
「やってみるがいい」
――勇者は服を脱ぎ始めた!
悪魔
「ちょ、ちょっと何で服脱いでんのよ」
勇者
「俺は勇者、最後まで信念を曲げない男。たとえ死んでも世界の平和は俺が守るんだ!」
悪魔
「フルチンで言われても……」
勇者
「そして鞭で叩かれつつ聖女の寿命は必ず取り戻ぉす!」
悪魔
「……」
勇者
「どうしたァ!!! 早く俺を叩け! その鞭で! さあ!!!」
悪魔
「(ひっ、何このフルチン野郎怖い!)い、命乞いするなら今のうちよ! 私への非礼を詫びるんなら命だけは許してあげるけど」
勇者
「いいから叩けオラァ!」
――勇者は四つん這いでケツを突き出したまま後ろ向きに突っ込んできた!
悪魔
「ひゃあっ! わ、分かったわ! 女の寿命は元に戻すから」
勇者
「今そんな事はどうでもいいんだよ!」
悪魔
「なんで!?」
勇者
「例え世界が滅びようとも俺は鞭で叩かれたいんだよ!」
悪魔
「最低だわ! 最低かつ真正の変態だわコイツ!」
勇者
「さっきまであんなに乗り気だったじゃん! 叩けよ」
悪魔
「アンタがキモ過ぎて一気にテンション下がったし!」
勇者
「それそれ
鞭で
叩け叩け」
悪魔
「祭りのキャッチコピーみたいに言うな!」
勇者
「分かった。条件をのもう。俺が何をしたら鞭で叩いてくれるんだ?」
悪魔
「叩かないから帰ってよ!」
勇者
「叩いてくれたら抱きしめてやるぞ」
悪魔
「それ私の罰ゲームじゃんか!」
勇者
「……そういえば俺、何しに来たんだっけ?」
悪魔
「帰れ!」
※ちゃんと聖女の寿命は元に戻してもらえました。
おわり
お読みいただきありがとうございました!