勇者と聖女のショートコント 5 寿命
勇者Aがモンスター学者と出会うよりも前のお話です。
勇者
「さて、今日も街の平和を守りに(セクハラを働きに)行きますかね」
聖女
「勇者さんこんにちは!」
勇者
「ん? こんなところでどうしたんだ?」
聖女
「勇者さんのニオイを嗅いでここまでたどり着いたんです!」
勇者
「犬か」
聖女
「グゥオー! グゥオー!」
勇者
「……それ、犬の鳴きまねなのか?」
聖女
「いいえ、ンガウゥオーです!」
勇者
「わっけ分かんねぇ」
聖女
「そんな事より私、あと半年の命なんです!」
勇者
「お前すごいテンションでぶっ込んでくるな」
聖女
「あれは近所の人たちと、教会でビニールを燃やしていた時のことでした」
勇者
「ほんとツッコミどころしかないなお前」
聖女
「そしたらなんと火の中から悪魔が現れたんです!」
勇者
「それダイオキシンだろ」
聖女
「グゥオー! って言いながら!」
勇者
「あっ、さっきの悪魔の鳴きまねだったんだ」
聖女
「悪魔は言いました『ここにいる人間の命を取られたくなければ、ピザを10人前持ってこい』と!」
勇者
「割とささやかな悪魔だな」
聖女
「そうして私は寿命を削られ、悪魔からあと半年の命だと言われてしまったのです」
勇者
「いつ!?」
聖女
「さっき言ったじゃないですか!」
勇者
「言ってねーよ!」
聖女
「とにかく寿命があと半年になった私は決めました。最後の半年は悔いなく生きようと!」
勇者
「そうだったのか……。ちなみに余命半年って言われたのは最近なのか?」
聖女
「一年前です」
勇者
「打ち勝ってんじゃねーか!」
聖女
「でもまだ分かりません! たまたま悪魔の気まぐれで生かされているだけかもしれませんし」
勇者
「もしかしてそれって、お前がやたらと墓を建てたり、墓の中に俺をブチ込もうとしてるのと関係あるのか?」
聖女
「……ぐぇい」
勇者
「どっちだよ」
聖女
「実を言うと少し怖いんです。私が死んだら、みんなお墓にお饅頭を供えてくれるかなって」
勇者
「饅頭より大切なものが沢山あると思いますよ」
聖女
「それに、もっと勇者さんや魔王さんや死体さんとだって一緒にいたい」
勇者
「(死体……!?)」
聖女
「だから勇者さん、私が突然死しても驚かないでくださいね!」
勇者
「死ぬ気になるのはまだ早いだろ」
聖女
「え?」
勇者
「俺が聖女の寿命を返してくれるよう、悪魔に頼んでみるよ」
聖女
「で、でも下手したら勇者さんまで寿命減らされちゃいますよ!?」
勇者
「大丈夫大丈夫、チンコ出せば許してくれるって」
聖女
「見せてくれるんですか!?」
勇者
「見せないわよバカ!」
――こうして勇者は悪魔と交渉することになった!
おわり
お読みいただきありがとうございました!