勇者と魔法使いと闇魔道士のショートコント 11 ヴァレンタイン
――ヴァレンタイン当日!
勇者
「は、は、ㇵァックション!」
魔法使い
「風邪ですか?」
勇者
「そうかも。最近寒いからな……」
闇魔道士
「ヴァ、ヴァ……、ヴァっレンタイン!! おっとクシャミが出てしまったハッハッハ」
勇者
「(わざとらし過ぎる……)」
闇魔道士
「見ていろ勇者! 今年こそは我がヴァレンタインの勝者となるのだ!」
勇者
「はいはい」
――ヴァレンタインの翌朝。メンバーたちは宿屋のロビーに集まっていた!
勇者
「あれ? 闇魔道士がいないぞ?」
魔法使い
「チョコ貰えなくていじけてるんじゃないですか?」
勇者
「あー、ありえる。ちょっと俺が起こしてくるわ」
勇者
「おい闇魔道士、入るz……」
――闇魔道士は部屋の中央で首をつっていた。
勇者
「うわああああああああああああ!!!」
闇魔道士
「なんだ勇者、朝っぱらからうるさいぞ」
勇者
「なんで生きてるんだよ!!?」
闇魔道士
「哲学的な話か?」
勇者
「違わい! なんで首吊ってるのに生きてるんだよ!」
闇魔道士
「若干死んでいて欲しいかのように聞こえるんだが」
魔法使い
「とりあえず見苦しいんで降りて来てもらってもいいですか?」
勇者
「なんでお前そんなに冷静なの!?」
――闇魔道士は地上へと降り立った!
勇者
「で、なんで首なんか吊ってたんだよ」
闇魔道士
「実は昨日、一つもチョコを貰えなくて……」
勇者
「(メンタル弱……!)」
闇魔道士
「ショックで首を吊ったのだが、我は生まれつき首が強くてな……」
魔法使い
「闇魔道士じゃなくてプロレスラーの方が向いてたんじゃないですかね」
勇者
「一番向いてるのは料理人だけどな」
闇魔道士
「それで勇者、貴様は一つでもチョコを貰えたのか? 一つも貰えなかったんだろ?」
勇者
「(ここで3人から貰ったとか言ったら、また闇魔道士が自殺してしまう)え、えーっと、ひとつも貰えなかったよ」
闇魔道士
「そうであろう! やはり我々はモテない仲間だな!」
魔法使い
「なに寝言抜かしてるんですか勇者さん。私が本命の鉄球チョコをあげたじゃないですか」
勇者
「おい馬鹿! 今は黙ってろ!」
闇魔道士
「ワレ ユウシャ コロス」
勇者
「やばい! 闇魔道士から悪の波動が!」
魔法使い
「アハハ! 闇魔道士らしくなったじゃないですか!」
勇者
「なんで楽しそうなんだよ!」
魔法使い
「冗談はさておき闇魔道士」
闇魔道士
「ナンダ」
勇者
「いつまで片言なんだよ」
魔法使い
「調合師も女騎士も、闇魔道士にチョコあげるって言ってましたよ。義理らしいですけど」
闇魔道士
「え? 本当ですか?」
勇者
「興奮しすぎて敬語キャラになってるぞ」
魔法使い
「ええ。でも闇魔道士の『チョコくれオーラ』が凄まじ過ぎて近寄りたくないから、落ち着いてから渡すと言っていました」
闇魔道士
「……ふっ、我としたことが早とちりしたわ。待ってろ二人とも!」
――闇魔道士はロビーの方へ走って行った!
勇者
「忙しいオッサンだなあ」
魔法使い
「ところで勇者さん、私のチョコは食べてくれましたか?」
勇者
「え? まだだけど……」
魔法使い
「首吊ってください」
勇者
「いやだよ!」
おわり
お読みいただきありがとうございました!