魔王と女幹部のショートコント 3 仲直り
――家出した女幹部を探しに、魔王は街へ出て来ていた!
女幹部
「魔王様! やっと見つけた!」
魔王
「それ完全に私のセリフなんだが」
女幹部
「だって魔王様、魔王城に戻っても居ないんですもの! あの引きこもり体質の魔王様が外に出るなんて!」
魔王
「お前を探しに来ていたんだ無礼者」
女幹部
「私を……、魔王様、あんなひどい事を言って申し訳ございませんでした」
魔王
「もう良いんだ。次からは気を付けてくれ」
女幹部
「それからさっき魔王様が居ないのをいいことに、枕の臭いを嗅いできて申し訳ございません」
魔王
「勇者かお前は」
女幹部
「それから」
魔王
「まだ続くのか!?」
女幹部
「勇者が庭に植えて行ったブロッコリーに、こっそり水をやっていてしまいました。申し訳ございません」
魔王
「謎の共同作業やめろ」
女幹部
「それから」
魔王
「どこまで続くんだ!」
女幹部
「以前魔王様が入浴している時、ずっと更衣室から覗いていました。申し訳ございません」
魔王
「……」
女幹部
「もしかして引いてます?」
魔王
「いやドン引きしているんだ」
女幹部
「ドン引きと言えば、さっきそこで勇者に会いましたよ」
魔王
「お前も似たようなモノに見えてきたんだが」
女幹部
「魔王様、コレを」
――女幹部は魔王にラピスラズリのペンダントを差し出した。
魔王
「おお、青くて可愛いな」
女幹部
「勇者がくれたんです」
魔王
「わぁ、一気におぞましい物に見えてきたぞ」
女幹部
「しかも勇者の脇から発掘されたそうです」
魔王
「捨てていいか?」
女幹部
「駄目ですよ! せっかく勇者がくれたものなんですから!」
魔王
「じゃあ女幹部、これをお前にやろう」
女幹部
「いりませんよ!」
魔王
「いらんのかい!」
聖女
「へー。それ勇者さんがくれたんですか」
魔王
「うわっ! お前どっから湧いて来た!」
聖女
「そんなに要らないんなら私に下さいよ。お金なら払いますから」
魔王
「タダで良いから持っていけ」
聖女
「わぁ、綺麗! これでフフフフフ」
――聖女は去って行った!
魔王
「あいつからは邪悪な気配を感じる」
勇者
「魔王のお前が言うな」
魔王
「うわっ! 出たなチンチンブロッコリー男!」
勇者
「俺すごいアダ名付けられてんな」
女幹部
「勇者、どうしてここに?」
勇者
「お前らが俺をベタ褒めにしてるのが聞こえたからな」
魔王
「いやボロクソに言っていたんだが」
勇者
「一件落着したことだし、みんなでブロッコリー食べに行こうぜ」
魔王
「アライグマか」
女幹部
「じゃあ近くの畑に」
魔王
「やめろ害獣ども!」
おわり
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