勇者と魔法使いと調合師と女騎士のショートコント 険悪
魔法使い
「おや、まだ生きてたんですね調合師」
調合師
「魔法使いこそ、どうして息を吸っているの?」
勇者
「おい何ケンカしてんだお前ら」
魔法使い
「勇者さんは口を挟まないで下さい」
女騎士
「お前らくっころ!」
調合師
「そこまで言うならやめる……」
勇者
「『くっころ』ってどこまで!?」
女騎士
「それで、お前たちは何故ケンカなんかしていたんだ」
魔法使い
「朝食で出たパンが、私のより調合師のパンの方が少し大きかったんです」
勇者
「シベリアか」
女騎士
「お前らいつもケンカをしているな。仲が悪いんだな」
調合師
「別に、仲が悪いってわけじゃない……」
魔法使い
「そうですよ。廊下ですれ違ったら、目も合わせず互いに舌打ちするくらいのものです」
勇者
「バッチバチじゃねーか」
調合師
「それに、私は魔法使いの事が嫌いなわけじゃない」
勇者
「そうなのか?」
調合師
「ただちょっと飲み物に毒を混ぜて苦しむ姿を見たいと思ってるだけ……」
勇者
「嫌悪感が殺意に変わってるんだが」
魔法使い
「私も調合師が勇者さんと話しているところを見ると海に沈めたくなります。勇者さんごと」
勇者
「俺もかよ!」
魔法使い
「勇者さんは甘いですよ。社会ではこれくらい冷え切った人間関係なんて普通に存在するんですから」
勇者
「えー、俺そんなギスギスしたの絶対無理だわ。っていうかこのパーティーでやってほしくない」
魔法使い
「じゃあどうするんですか! 私と結婚してくれるんですか!」
勇者
「もはや持ちネタだなそれ」
女騎士
「ここは一緒にゲームでもして親睦を深めるのはどうだろう」
勇者
「くっころゲームとか言うなよ」
女騎士
「!?」
勇者
「やるつもりだったのかよ!」
魔法使い
「まあここは無難に殺し合いゲームにしましょう」
勇者
「何が無難なんだよ!」
調合師
「じゃあここに4つの大福を用意したわ……」
勇者
「おっ、旨そうだな」
調合師
「ところがこのうち3つには中にトウガラシが詰まっている……」
女騎士
「なるほど、ロシアンルーレットか」
魔法使い
「で、残り一つには何が入ってるんですか?」
調合師
「バスケットボール」
勇者
「どうやって入れたんだよ?!」
調合師
「頑張ったの」
勇者
「だから何をどう頑張ったんだよ!」
調合師
「さぁ、アタリを引くのは誰かしら……」
勇者
「全部ハズレじゃねぇか!」
調合師
「ちなみにそのバスケットボールは爆発する……」
勇者
「え?」
女騎士
「おい勇者、このバスケットボールみたいな大福、くっころ美味しいぞ!」
大 爆 発
おわり
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