勇者と女騎士のショートコント 6 女騎士の実家
――勇者たちはくっころセミナーを抜け出し、女騎士の自宅に到着していた!
勇者
「お前の実家ってお屋敷なんだな」
女騎士
「まがりなりにも騎士の家だからな」
???
「誰だ!」
勇者
「ん? ガタイの良いおっさんが出て来たぞ」
女騎士
「父上! お久しぶりです!」
女騎士の父
「おお我が愛しのロザリー(女騎士の本名)よ! くっころ!」
女騎士
「くっころ! 父上」
勇者
「(駄目だ……、突っ込んだら負けだ……!)」
女騎士の父
「ところで、お前の隣にいるその男は誰だ? 彼氏か?」
女騎士
「いいえ、くっころです」
女騎士の父
「なるほど、君が勇者くんか」
勇者
「なんで通じたんだ?!」
女騎士の父
「いつも娘が迷惑をかけてすまないね」
勇者
「いえいえ」
女騎士の父
「娘が君たちと旅をするようになってから手紙をよこす回数も増えたよ。きっと仲間が出来て嬉しかったんだろう」
勇者
「そうなんですか……」
女騎士の父
「中にはびっしり『くっころ』の文字で埋め尽くされた手紙もあった」
勇者
「強い怨念を感じますね」
女騎士の父
「君の仲間にはくっころ使いと力士と唐揚げがいるそうだね」
勇者
「全部いませんよ」
女騎士の父
「この前は『くっころ』をめぐって殴り合いのケンカが起きたそうじゃないか」
勇者
「起きてない起きてない」
女騎士
「それで父上、頼みがあるのです」
女騎士の父
「頼み?」
女騎士
「くっころ神の祠に入りたいのです」
女騎士の父
「ほっこらに!?」
勇者
「祠をくっころみたいに言うのやめてもらえませんかね」
女騎士の父
「祠のある場所は選ばれた者しか入れない。もし誤って足を踏み入れればすべての内臓が破裂して死ぬことになる」
勇者
「くっころ神怖っ!」
女騎士
「それでも勇者なら大丈夫です」
女騎士の父
「ほう、その根拠は」
女騎士
「勇者がくっころ神に選ばれた『くっ』だからです!」
女騎士の父
「ほう」
女騎士
「それに勇者ならもし内臓が破裂しても死にません!」
勇者
「いやいや死ぬ死ぬ!」
女騎士の父
「……分かった。ちょっと勇者くんと話があるからお前は下がっていなさい」
女騎士
「わかりました」
――女騎士は席を外した!
女騎士の父
「なあ勇者くん」
勇者
「はい」
女騎士の父
「君は娘のことをどう思っているんだ?」
勇者
「どうって……。大切な仲間ですよ」
女騎士の父
「御託はいいんだよ! 素直に思っている事を言いたまえ!」
勇者
「え、いや特に言葉に偽りは……、まあでも『くっころ』ですかね」
女騎士の父
「その言葉を待っていた!」
勇者
「(いいのかこれで……)」
女騎士の父
「ふっ、そろそろ孫の顔も見れそうだな」
勇者
「え?」
おわり
お読みいただきありがとうございました!