魔王と狂戦士のショートコント 2
聖女に怯える狂戦士は魔王に弟子入りを申し出ていた。
狂戦士
「頼む! なんでもするから!」
魔王
「……、そこまで言うなら仕方ない。私が出す試練に耐えられたら認めてやる」
狂戦士
「本当か!」
魔王
「ああ。人間が私の出す試練に耐えられるとは思えんがな」
狂戦士
「望むところだぜ!」
女幹部
「魔王様、例のものをお持ちしました」
狂戦士
「ん? 何だこれ、ニンジンか?」
魔王
「第一の試練! ニンジンを食べてみろ」
狂戦士
「いや幼稚園か」
魔王
「ふっ、やはり臆して食べる事は出来ぬか」
狂戦士
「ポリポリ」
魔王
「何!?」
女幹部
「バカな、魔王様が10年かかって食べられるようになったニンジンを丸かじりしただと!?」
狂戦士
「どんな長期戦だよ」
魔王
「ふふっ、よくぞ耐えたぞ狂戦士とやら!」
狂戦士
「あんたウサギとか見たら発狂するんじゃねぇのか」
女幹部
「魔王様、次の物をお持ちしました」
魔王
「ご苦労。ククク、次はニンジンの比にならないブツだぞ」
狂戦士
「(これは何だ、ノッた方が良いのか)……、いっ、一体何が出て来るって言うんだ?」
魔王
「ピーマンだ!」
狂戦士
「なんで立て続けに緑黄色野菜が出て来るんだよ!」
魔王
「ククク、この毒々しき緑の野菜に臆したか?」
狂戦士
「むしゃむしゃ」
魔王
「!?」
魔王
「私が未だに食べられないピーマンをいともたやすく食べただと!? お前、まさか魔王か!?」
狂戦士
「突っ込まんぞ?」
魔王
「まさか、この試練を超えられる人間がいるとは……」
狂戦士
「さっ、約束は約束だぜ。俺様を弟子にしろや」
魔王
「くっ、人間の分際で態度のでかいヤツめ」
女幹部
「魔王様、ここは彼奴らの討伐を任せてみてはいかがでしょう?」
魔王
「おお、その手があったか! おい狂戦士とやら、お前に最後の試練を与える」
***
――狂戦士は勇者Aの両親を追い出すよう言いつけられ、彼らが住んでいる部屋の前までたどり着いていた。
狂戦士
「この部屋だな。早速入ってみるか」
勇者の母親
「オラァ!」
勇者の父親
「んぁああ!」
狂戦士
「なんだ、女にムチでケツを叩かれて喜んでるオッサンがいるぞ!?」
勇者の母親
「オラオラァ!」
勇者の父親
「んうふううう!」
狂戦士
「うわぁ……、どうしよう、出て行けとか言える空気じゃ無ぇな」
狂戦士
「よし混ぜてもらおう」
――狂戦士は二人の間に割って入った!
狂戦士
「俺もぉ!」
勇者の母親
「そいやぁ!」
狂戦士
「あぁん!」
勇者の母親
「オラァ!!」
勇者の父親
「んひぃいい!」
魔王
「さて、狂戦士が奴らを追い出せたか様子を見てみるか」
勇者の母親
「ソレソレソレソレソレ!」
勇者の父親
「あああああん!」
狂戦士
「ピャー!」
魔王
「うわぁああ」
おわり
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