ダンジョン編 最終話 魔法使いとの再会
――狂戦士と別れた勇者たちは、魔法使いの元に向かっていた。
勇者「うーん、すごく嫌な予感がする」
闇魔道士「浮気がバレるからか?」
勇者「『浮気した!』って言いがかりを付けられそうではある」
女騎士「心配するな。魔法使いも鬼じゃないさ」
勇者「そうか?」
調合師「あの女は鬼じゃないけど、悪魔……」
勇者「怖い事言うなよ」
闇魔道士「よし着いたぞ。魔法使いがいる宿はここだな」
魔法使い「あっ」
勇者「あっ、ただいま」
魔法使い「チッ、女どもも無事でしたか。皆さんご無事で何よりです」
勇者「前半は心の中で言ってくれねぇかなぁ!」
調合師「やはりこの女はクズ……」
魔法使い「勇者さん、ちょっと話があるんで部屋まで来てもらっていいですか?」
勇者「えっ、俺だけ?」
魔法使い「早く」
勇者「(マズイ、魔法使いの目が笑ってない)」
闇魔道士「おい勇者」
勇者「何だよ」
闇魔道士「南無」
勇者「てめぇ!」
――魔法使いの部屋にて
魔法使い「浮気旅行は楽しかったですか? 勇者さん」
勇者「してねぇよ。それに行く前にも言ったけど、俺はお前と付き合ってないし結婚もしてないから、何かしてても浮気にはならない」
魔法使い「!?」
勇者「なんで行く前と同じ反応するんだよ」
魔法使い「まぁ良いです。ダンジョンではどんな事がありましたか?」
勇者「うん、ダンジョンがいきなり二手に分かれててさ。俺は最初、助っ人の狂戦士と一緒に進んだんだ」
魔法使い「すごーい」
勇者「お前絶対聞き流してるだろ」
魔法使い「いいから続きを教えてくださいよ」
勇者「聞いて驚け、俺はゴーレムを一人で倒せるようになったぞ」
魔法使い「すごくなーい」
勇者「すごーい、と同じイントネーションで言うのやめろや」
魔法使い「それから何があったんですか?」
勇者「それから……、そうだ、5階層が休憩スペースになってた」
魔法使い「なるほどラブホテルですか」
勇者「違うわ」
魔法使い「勇者さんは誰と休憩したんですか?」
勇者「誰って、一人部屋だったよ」
魔法使い「寂しいですね」
勇者「はっ倒すぞ!!」
魔法使い「ところで勇者さん、私に何か隠してることがあるんじゃないですか?」
勇者「え? べ、別に何も隠してないけど……」
魔法使い「でも勇者さんから臭って来るんですよぉ!」
勇者「……何が?」
魔法使い
「女の臭いがプンプンプンプンプンプン!」
勇者「ハチ飛んでんのか」
魔法使い「いい加減白状したらどうですか!」
水の精霊「とうっ!」
――勇者の背中から水の精霊が飛び出してきた!
勇者「おい、ややこしくなるから出てくるなって言ったろ!」
水の精霊「何がややこしいものか。妾と其方は契りを交わした仲であろう」
勇者「しかも余計なことを言うな!」
――その時、魔法使いから殺意の波動が湧き出してきた!
魔法使い「ねぇ勇者さん」
勇者「あっはい、出来るだけ痛みを感じずに死にたいんですが」
水の精霊「殺される前提なのか」
魔法使い「キサマには全ての苦しみを味あわせてやろう」
勇者「ひえええええ! 待て! そうだお前にプレゼントがあるんだ!」
魔法使い「プレゼント?」
――勇者はルビーの指輪を差し出した!
魔法使い「もしかして、それは結婚指w」
勇者「違う」
魔法使い「プロポ」
勇者「違う」
魔法使い「ポッコロ!」
勇者「懐かしいなそれ」
魔法使い「じゃあ何なんですか、それ」
勇者「実はこれ、ラスボスのドラゴンに貰ったんだ。お前のためにな」
魔法使い「やっぱりプロポーズじゃないですか!」
勇者「違う違う、ドラゴンに願いを叶えてもらえる事になって、何が良いか皆で考えた結果、ずっと地上で待ってる魔法使いにプレゼントをしようって事になったんだ」
魔法使い「……」
勇者「ちなみにルビーにしたのは女性陣のアイディアだ。お前、赤い色が好きだろ?」
魔法使い「血の色と同じですからね」
勇者「……、と、とにかく、それは結婚指輪とかじゃなくて、純粋に皆からお前へのプレゼントだよ」
魔法使い「ありがとうございます。ずっとずっと大切にします」
勇者「礼なら俺じゃなくて他のみんなに……」
魔法使い「ねぇ勇者さん」
勇者「ん?」
魔法使い「今、二人きりですね」
勇者「え? いや水の精霊が」
魔法使い「久しぶりにアレ、しましょうよ」
勇者「アレ……?」
魔法使い「ご・う・も・ん」
勇者「ぽゃあああああ!」
ダンジョン編 完
お読みいただきありがとうございました!