勇者と聖女のショートコント 4
――勇者は聖女から逃げ回っていた!
勇者
「ふぅ、ここまで来れば大丈夫だろ……」
聖女
「ええ、もう安心ですね!」
勇者
「ひえええええええええええ!」
聖女
「何があったんですか勇者さん!?」
勇者
「お前だよ! お前の存在から逃げてたんだよ俺は!」
聖女
「そうだったんですね」
勇者
「そうだったんですね!? ……全然気配とか感じなかったんだが、お前どうやってついて来てたんだ?」
聖女
「そう言われましても、私はずっとピッタリくっついてましたよ」
勇者
「闇かお前は!」
聖女
「あははっ、違いますよー。……、そんな事より勇者さん」
勇者
「(いきなり声のトーンが下がった!)な、何?」
聖女
「私、知ってるんですよ。魔王さんが病気じゃないことも、勇者さんが魔王さんにセクハラを働いていることも……」
※第44部分 勇者と聖女のショートコント 2 参照
勇者
「違う! アレは勇者としての務めでだな……」
聖女
「どうして魔王さんの前では服を脱ぐのに……」
勇者
「え?」
聖女
「どうして魔王さんにはチンチン見せるのに私のお墓には入ってくれないんですか!!」
勇者
「パーフェクトスカイか」
聖女
「いいから一緒にお墓に入りましょうよ!」
勇者
「墓に入ったら死んじまうだろうが!」
聖女
「そう言うと思って、お墓の中には暖房を取り付けました」
勇者
「何その世界一無駄な機能」
聖女
「あとヒモが付いていて、それを引くと灯りが付きます」
勇者
「誰が引くんだよ! 死んでんだぞ!」
聖女
「魂は永遠ですよ」
勇者
「だからそういう問題じゃねぇんだよ!」
聖女
「……、わかりました」
勇者
「やっとか……」
聖女
「勇者さんの左腕だけで我慢します」
勇者
「妥協になってねぇよ!」
聖女
「あっ、もしかして勇者さん左ききでした?」
勇者
「だから違うわ! 腕を持ってかれるのが嫌なんだよ!」
聖女
「後で返すから大丈夫ですよ!」
勇者
「消しゴムか!」
聖女
「消しゴムなんですか?」
勇者
「違うわ!」
聖女
「それじゃあ、分かりました」
勇者
「お前絶対分かってねぇだろ」
聖女
「ハッキリさせましょう。勇者さんは、『魔王』さんと『お墓』のどっちが好きなんですか」
勇者
「魔王だよ。何だその一瞬たりとも迷わない二択は」
聖女
「やっぱり私より魔王さんを取るんですね!」
勇者
「お前=墓なのかよ」
聖女
「こうなったら私が魔王さんのところに行って殺、いや話をつけて来ます!」
勇者
「お前今『殺す』って言いかけたろ!」
――聖女は走り去って行った!
勇者
「あいつ足速っ! うーん、魔王なら大丈夫だと思うけど一応行ってみるか」
――こうして魔王と聖女は再び相見えることとなった!
終わり
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