ダンジョン編 14 勇者と女騎士の6階層
——勇者と女騎士は6階層に進んでいた!
勇者
「ここが6階層か」
女騎士
「うえーい」
勇者
「まだ酔ってんのか……。おい大丈夫か女騎士」
女騎士
「うへへぇ、大丈夫大丈夫」
勇者
「完全に千鳥足じゃねぇか」
女騎士
「ははは!」
勇者
「……なんで笑ったんだ」
女騎士
「ははは千鳥足って! お前はベーコンか!」
勇者
「どんな因果関係だよ」
女騎士
「はーっはっはっは!」
勇者
「……今度は何が面白かったんだ?」
女騎士
「勇者の顔が!」
勇者
「はっ倒すぞ!」
女騎士
「なんだお前! こんな暗いところで私を押し倒して何をする気だ!」
勇者
「おいちょっと待て声がでかいって!」
女騎士
「くっころする気だな!」
勇者
「絶対言うと思ったわ!」
女騎士
「くっ、殺せ! このまま生きて辱めを受けるくらいなら! くっころ!」
勇者
「殺さねぇよ!」
女騎士
「さてはお前……エスパーふんどしだな!?」
勇者
「何言ってんのか分かんねぇよ!」
女騎士
「なんだと! このホホイ ホイホのホイのホイ!」
勇者
「テンションどうしたんだよ!」
女騎士
「あー、酔いが冷めてきた……」
勇者
「やっとか」
女騎士
「おい勇者チューしてくれ」
勇者
「酔ってんじゃねぇか」
女騎士
「でも本当に頭が痛いんだ……」
勇者
「待ってろ、今水を用意してやるから」
女騎士
「待て小僧」
勇者
「ん? 急に女騎士の声が低くなったぞ……?」
女騎士
「我は『くっころ神』! 今この女を依り代に顕現しておるのじゃあ!」
勇者
「……、分かったから水飲めよ」
女騎士
「くっころ、それすなわち宇宙を構成するエネルギー。すなわち全ての現象の源」
勇者
「いらないんなら俺が飲むわ」
女騎士
「くれ」
勇者
「何なんだお前は」
——女騎士は水を飲んだ!
勇者
「落ち着いたか?」
女騎士
「良き くっころ であった」
勇者
「水だって言ってんだろうが」
女騎士
「小僧、貴様はなぜ『くっころ』を求めるんじゃ?」
勇者
「求めてねぇよ」
女騎士
「……ほう、邪悪な『くっころ使い』に村を滅ぼされたのか」
勇者
「そういえばアメがあるんだけど、いる?」
女騎士
「アメナメルン」
勇者
「普通に言えや」
——女騎士はアメを舐め始めた!
女騎士
「良き くっころ であった」
勇者
「それもうええわ! いつまでこのノリで続けるんだよ!」
女騎士
「貴様は『くっころの化身』として選ばれたのじゃ! この女と共にな」
勇者
「化身?」
女騎士
「要するに貴様が『くっ』で、この女が『ころ』だ」
勇者
「『くっ』て何だよ喉に詰まるわ」
女騎士
「いずれ分かる時が来るじゃろう……」
——女騎士は倒れた!
勇者
「あっ! おい!」
——勇者は地面に付く寸前で女騎士を抱き上げた!
女騎士
「うーん、あれ? 私はどうして勇者の腕の中にいるんだ?」
勇者
「なんだ覚えてないのか? お前が急に」
女騎士
「はっ! お前まさか私に!」
勇者
「わわっ! 違う! くっころなんてしてない!」
女騎士
「くっころ!」
勇者
「くっころ!」
女騎士
「なるほどそういうことか」
勇者
「伝わったの!?」
つづく
お読みいただきありがとうございました!