勇者と魔法使いと闇魔道士のショートコント 6
3人で旅をしていた時の話です。
勇者
「寒い」
闇魔道士
「寒いな」
魔法使い
「私があたためてあげますよ」
勇者
「どうやって?」
魔法使い
「火あぶりで」
勇者
「丸焼きになるわ」
魔法使い
「なんか魔女狩りみたいですね! アハハ!」
勇者
「魔女はお前だろ」
闇魔道士
「しかし次の街まで遠そうだな。今日も野宿か」
勇者
「寒い中の野宿は気が滅入るぜ……」
闇魔道士
「そんな時はコレ! 『闇の藁人形』!」
勇者
「こんな時に気味の悪いモン出すな!」
闇魔道士
「ふっ、貴様は『藁人形』という名前に騙されている」
勇者
「なに?」
闇魔道士
「この『闇の藁人形』は呪った相手を確実に殺せる便利なアイテムだ」
勇者
「ものすごい名前の通りじゃねえか」
闇魔道士
「呪いを込めて藁人形に釘を打ち付けてたら身体が温まるだろう」
勇者
「人殺してまで温まりたくねえよ」
魔法使い
「へぇ、それ面白そうだから私に貸してください」
闇魔道士
「貴様には貸さん」
魔法使い
「何でですか!」
闇魔道士
「声がデカい」
魔法使い
「元気ですか!」
勇者
「うるせえよ」
闇魔道士
「魔法使いに渡したら何人呪い殺すか分からんからな」
魔法使い
「やだなあ、ざっと1000人くらいのもんですよ」
勇者
「桁違い過ぎるわ!」
魔法使い
「でも1000人くらい減ったところで人類は亡びませんよ?」
勇者
「侵略的宇宙人みたいな発想だな」
闇魔道士
「我も1000人の中に入ってそうで怖いんだが」
勇者
「ちなみに闇魔道士はそれ使ったことあるのか?」
闇魔道士
「あるわけなかろう! 物騒な事を言うな!」
勇者
「テメーさっき俺に使わせようとしてたじゃねぇか」
魔法使い
「ということは私が最初の使用者になるわけですね」
闇魔道士
「だから貴様には貸さんと……、ん? 藁人形が無いぞ」
魔法使い
「探してるのはコレですか?」
――魔法使いは藁人形を持って微笑んでいる!
闇魔道士
「か、返せ! それはクロマグロを仕留める時に取っておくんだ!」
勇者
「お前もう闇魔道士やめちまえよ」
魔法使い
「アハハ! もう遅いですよ! さて、誰を呪い殺そうかなあ!」
勇者
「やめろ魔法使い」
魔法使い
「止めたら勇者さんは何をしてくれますか?」
勇者
「何って……」
魔法使い
「ねえ! 早く決めてくださいよ! 例えば結婚するとか結婚するとか結婚するとか!」
闇魔道士
「まるで呪文だな」
勇者
「くっ! 1000人の命には代えられねえ。分かった……。今夜の夕食のおかずを一品お前にやるよ」
闇魔道士
「1000人の命やっすいな」
魔法使い
「いいでしょう」
闇魔道士
「いいのか!?」
おわり
お読みいただきありがとうございました!