目覚め
彼女は時々崩れる。いつその現象が起こるかはわからない、と彼女は言っていた。
しかし僕にはわかる。
彼女が自分は独りぼっちだと感じたとき。彼女は崩れる。
そのことに、彼女は気づいていない。
気づいていなくてもいい、と僕は思う。僕が彼女の側にいること。それがたったひとつの解決策だと彼女に思い込ませておけるから。
彼女が久しぶりに崩れた。
体育の授業でチームを組むときに、独りだけ余ってしまったのが原因らしい。僕がそのことを知ったのは、授業が終わったあとだった。なぜなら体育は男女別だから。
このときほど彼女の側にいなかったことを後悔したことはない。
彼女は目覚めない。
僕に見捨てられたと勘違いしているのかもしれない。
読んでいただきありがとうございます。
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