記録
――1――
死んでしまえば良いのに。
そう思いながらも、行動に移す気なんてさらさらないのは所詮は僕の甘えが現状を生んでいるからなのだろう。
子供の頃、自分が大人になることなんて想像つかなかった。だから、親に何を言われても、何も気にしなかった。中学の頃、酷いイジメに遭ったとか、そういうわけじゃない。だけど、僕は不登校になった。学校に行くのが面倒だったから。義務教育だから、学校に行かなくても卒業出来る。それなら、行く理由はない。それが最大の理由だった。
高校に行くかどうか、迷ったけど、進学することにした。その頃、中学時代のほとんどを家の中で過ごした僕は、楽しい学校生活を送ってみたいという気持ちが強くなっていた。大多数の同年代の人と同じく、僕は思春期だったのだ。高校は楽しく生活出来たら良いなと思っていた。女の子と話したりして、彼女とか出来たりして、そう……、目立つ存在にならなくても、楽しいなと思える高校生活を送りたいな、と思っていた。だけど、実際にはそんなものはなかった。辛いだけだった。不良達が女子と話しているのは何も思わなかった。だけど、僕と同じような中学時代を送っていそうな、目立たないタイプの男子達が、女子と仲良く話しているのが気に食わなかった。話している女子達も、中学時代、冴えなかったであろう人達だ。楽しい学校生活を味わってみたい、そんな思いを抱いた者達同士が、一致団結して楽しい学園生活を満喫しているのだ。これが気に食わない。純粋な青春ではない、アニメや漫画の影響で、青春時代を楽しんでみせると歪つに願った冴えない奴らの傷の舐め合い。大嫌いだった。吐き気がした。
だけど……、そう。
本当は僕もその中に入りたかったんだ。
だけど、僕はその中にも入れなかった。
だから、極度に拒絶することによって、プライドを保とうとした。
そしてそれ自体さえ、気が狂いそうになるほどに、惨めだった。
勉強もする気になれず、ただ無駄に時間を潰した。いつの日か、僕は学校に行かなくなった。親からは諦めの眼差しで見つめられた。中学時代、僕が不登校になった時は必死に止めていたけれど、高校では、ただ悲しい瞳で僕を見つめただけだった。