途中
いつもの立体駐車場に車をとめ、
今日の一件目の仕事場である
スカイ・ザ・シティホテルに
向かっていると、
新しいカフェが出来ていることにふと気づき、
ほぼガラスだけで造られた正面から、
光の反射で見にくい店内を
伺い見る。
一人の人影、
奥にもう一人見える。
時間があれば、珈琲でも飲みたいところだ。
とココロの中でつぶやき、
足早に通りすぎてそのつぶやきをかわした。
大通りにでたので
左に曲がり100㍍ほど進んで、
地下道にツナガル階段をおりる。
カフェかあ、いいなああの人たち
歩きながら、少し前のことを思いだしていた。
入院する前、私は、カフェを作ろうとしていた。
あの頃は夢と希望に満ち溢れ、自分には、なんでも出来ると、そして、他にはコワイモノなんて一つも思いつかないほど、強い存在であると感じていたから。しかし、
今考えると、あの時感じていた強さは、
持続性のない
儚い自己だったなあと。
地下道は、そのままデパートに繋がっている。
自動ドアを抜け、階段を8段あがり左に進むと従業員用のエレベーターがみえた。そこから事務所のある階までいき、制服をもらって、今度は更衣室のある階へ下りる。
私だけののっているエレベーターのドアが開き、斜め前のドアを開けながら、
おはようございまあす。
と言って入ると、いつもの顔ぶれが見えた。
二人の若い女の子。
一人は、着替えも終わり小上がりの畳の上に座って、何か食べている。もう一人は、大きな鏡の前で髪の毛を後ろ手で結んでいるところだった。
私たち派遣スタッフは、専用のロッカーがないので、派遣用に用意された、入り口近くのロッカーを使います。
そのため、人の行き来が頻繁になるので、まず、小上がりで着替えを済まし、まとめた荷物をしまう感じで着替えることになる。そうして着替え終わり、小上がりの手前に腰をおろした。
始まるまでは、まだ20分ある。
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