ワスレモノ
ふと時間が気になったので、
壁に掛けてある時計を見上げた。
8時5分前
少しだけ開けてあるカーテンから外の様子をうかがう、誰も見えない。
遠くで車の走る音が、たまに耳にはいる。
土曜日かあ ゆっくりした朝なんだなあ
と、思った。
ちょっと寒さを感じるので、
お湯を沸かしにキッチンへむかう。
珈琲でも飲むかと考えながら、水道をひねり、しばらく水を流したあと、ホーローのヤカンに二杯分ほどのお湯を沸かした。
フーボーーゥー
と、ガスコンロに火がつくと、
少しだけ暖かくなる。
その火に手をかざしてあったまると、
ココロも少しだけあったまるような感じがする。
病院行こうかな
と、思いついた。
というのも、このところ体重が急に減ったこともあり、少し動くと疲れやすくて、とりあえずしんどかった。
食事はとっているし、前と変わらない量も食べているはずなのに、体は痩せていく、洋服はブカッとする、そんなことでなんとなく困っていた。
珈琲を飲みながら、合間に、たまった洗濯物をして、乾いた衣類をたたみ、そして、煙草を手に取った。
タッ シュバーーッ
と、マッチで火をつけた。
職場で、使いさしのマッチが、
行き場に行き詰まりたまっていくと、
お前もどこにいけば良いのかわかんないんだなっと想いながら、私のポケットにいれてあげることになるなるのです。
そんなこんなで、
最近は、マッチを使う事が増えてきました。
さあて、そろそろいかないと
と、身じたくに集中し、忘れ物がないか考え、玄関に近づく。
あっ 鍵 鍵
と、あわてて寝室へ戻ってみる、
鍵置き場は決めてあるのだが、たまに守らない時ってありますよね。
やっとこさ見つけ、また玄関へ向かう、
あっ あー持ってるな 良し
と、不安になったココロが、持ってるものまで、
ちゃんと持っているのかを確かめようとする。
まあ 忘れ物してたって なんとかなるか
と、ココロに言い聞かせ、スチール製の重いドアを開け、階段をかけ降りた。
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