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ウィ・ハブ・コントロール! シーズン4! ―空軍・海軍・姫・王子―  作者: フリッカー
ラストフライト:発動! オペレーション・POP!
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セクション09:アイスチーム一斉攻撃

『ちっ、もう向こうはやられたのか……!』

 舌打ちをするロックの声。

 どうやら、ミミの言い分は本当のようだ。

 ロックは残った味方を盾にして離脱し、ブラストチームを狙ったのだ。その味方は、既にやられてしまったようだが。

『そんな事を、次期王位継承者がしていい事だとお思いでしょうか……? あなたがそこまで卑劣な人間と知って、今私は猛烈に怒っています……っ!』

 自らの気持ちを実況するミミ。

 その言葉には殺意さえ感じ、聞いているツルギ達ですら身震いするほどのものだった。

 さすがのロックも、口を挟めない。

『フィンガー! ミステール! 残りはあの1機だけです! 心置きなくやりなさいっ!』

『了解です、姫様!』

『アイス3、了解』

 ミミの呼びかけで、フィンガー機とミステール機がミミ機と合流。

 3機のミラージュが、一斉にロック機へとダイブしていく。

 それを前にして、ようやくロックは自らが置かれた状況を理解したのか、息を呑んだのがわかった。

ミサイル発射(フォックス・ツー)ッ!』

 まず先頭を行くミミ機がミサイル発射。

 ロック機はすぐさま反応。

 フレアを撒いて急旋回し、放たれた見えないミサイルを回避する。

『この、エセ王子っ!』

 だが、フィンガー機のミサイルが続けざまにに放たれた。

 新たな攻撃に驚きつつも、やはりフレアを撒いたまま急降下して回避。

『どこを見ている!』

 さらにミステールによる第三波が襲いかかる。

 3連続で襲いくる見えないミサイル攻撃を前に、ロック機は息つく暇もない。

 それも、ようやく終わったかと思った矢先。

『アタイも、忘れるなあっ!』

 何と、電子戦担当として別行動をしていたチーター機までも乱入して、ミサイル攻撃を浴びせてきた。

 予期せぬ乱入者による不意打ちを、ロック機は何とか凌ぐ。

『チーター……よし、このまま畳みかけますよ! 続きなさい!』

 だが、攻撃はまだ終わらない。

 反転した他の3機が、再び順に攻撃を浴びせて行く。

 アイスチームの波状攻撃は、まだ始まったばかりなのだ。

『くそ、警報が鳴りっ放しじゃないか――っ!』

 ロックの無線からは、未だにミサイル警報が鳴り響いている。

 波状攻撃に晒されたロックは、たちまち防戦一方になってしまった。

 背後を取ろうにも、次々と飛んでくる攻撃がそれを許さないのだ。

 あまりにも一方的すぎる、4対1の空中戦。

 飛んできたミサイルは、もはや10発を超えている。

『うわー、姫さん完全にブチキレてるぜ……怖い怖い怖い』

 それを見て、他人事のようにつぶやくバズ。

「どうするツルギ? あたし達も行く?」

「いや――よそう」

 ストームの提案を、ツルギは却下する。

 自分達が介入するまでもなく、この勝負は決着が着くであろう事は容易に想像できたから。

『く……このままやられっぱなしでいるものか!』

 とはいえ、ロックもさすがに足掻き始めた。

 一瞬の隙を突き、ミミ機の背後を捉えたのだ。

 くっ、と舌打ちするも左旋回で振り払おうとするミミ。

 だが、旋回は緩い。このままでは捕まってしまうのは明らかだった。

『全機――』

 ミミが何か指示したが、ロックオン警報で遮られる。

『わかりました、姫様! やらせるもんかっ!』

 真っ先に反応したのは、フィンガー。

 すぐさま、ロック機の背後を取る。

機関砲発射(ガンズ・ガンズ・ガンズ)!』

 フィンガー機は機関砲射撃を試みたが、ロックオンされた事に気付いたロック機はすぐさま降下して回避。

『なんの――っ!』

 一度仕切り直してから、今度はやはり左旋回中のチーター機に狙いを定める。

『来たっすよ、副会長!』

 だがチーターは背後を取られても慌てる事なく、ミステールに呼びかけた。

『ああ、もらったよ!』

 今度はミステール機が背後に付き、機関砲射撃を浴びせる。

 やはり気付くのが速かったロック機は、右降下旋回で回避、離脱。

 ロック機の攻撃は、2回共適切な援護で不発に終わった。

『くそ、一体何なんだ!』

 降下してから、改めてアイスチームの状況を確認するロック。

 だが、それを見た途端、言葉を失った。

 アイスチームは、太陽を中心にそれぞれが一定の間隔を開けながら、同じルートを緩く左旋回している。

 それはさながら、戦闘機で作るメリーゴーランド。

 ロック機を見下ろして回り続ける様は、獲物を捕える機会を窺う猛禽のようにも見える。

 いつの間にか形成されていたその円に、ロック機は飛び込む事ができない。

 なぜなら――

「ツルギ、あれって――?」

「『ワゴン・ホイール』……!」

 ワゴン・ホイール。

 それは、半世紀ほど前に使われていた、相互援護戦術。

 チームで円陣を組む形で飛ぶ事で、敵がどれか1機の背後に着こうものなら、その後ろの機体が狙いを定められる。

 だから、ロック機は飛び込めない。

 崩すには上方からの一撃離脱などが有効だが、下方に陣取ってしまったロック機にはそれができない。

 古い戦術ではあるが、今のロック機のようにミサイルを切らした相手に対する格闘戦には充分有効な戦術だ。

『さあ、覚悟を決めなさい……! 全機、突撃っ!』

 そして、円陣から1機ずつミラージュが急降下。

 勢いをつけて、再びロック機に襲いかかる。

『やばい――!』

 身の危険を感じたロック機は、すぐさま離脱を試みる。

 だが、勢い付いたミラージュから逃れられない。

 あっという間に、機関砲の間合いに詰められる。

『くらえーっ!』

 まずはフィンガー機の射撃。

 急旋回で何とか回避。

『おらぁーっ!』

 次にチーター機。

 逆方向に切り返して、これも回避。

『そこっ!』

 次にミステール機。

 これも切り返して回避した――かに見えたが、直後ロック機は姿勢を大きく崩した。

『しまった、失速――!?』

 無線では、ロックの声と共に警報音が聞こえる。

 無計画に旋回を繰り返したがために起きた、致命的な失速。

 その絶対的な隙を、最後に来るミミ機が逃すはずがない。

『これで――とどめっ!』

 ミミ機の射撃が、ロック機に浴びせられる。

 力を失ったロック機に、それをかわす術はもう残されていなかった。

 見えない弾丸を、黙って享受するロック機。

『ゲームセット! ウィナー、姫様! 敵機全ての撃墜を確認しました! お見事です!』

 直後、ピース・アイが高らかにアイスチームの勝利を告げた。

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