表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウィ・ハブ・コントロール! シーズン4! ―空軍・海軍・姫・王子―  作者: フリッカー
ラストフライト:発動! オペレーション・POP!
54/64

セクション05:敵が来ない?

『こちらピース・アイ。間もなく戦闘空域に到達します。皆さん、準備してください!』

 ピース・アイが、本番の時が迫っている事を告げた。

 今の内に、武装を再確認。

 本試の時と同じ、対艦ミサイル・ハープーンが主翼下に2発。どちらも異常なし。

『こちらアルタイル。成果確認の準備は既にできている。いつでも攻撃してよいぞ』

 本試に続き成果確認を担当するアンネリーゼも、既に準備を整えているようだ。

『今度もまた1機足りぬようだが、大丈夫なのかね?』

 だが、そんな彼女の余計な一言で、場の空気が一瞬冷たくなった。

 アイスチームは今回も、ミミという重鎮を欠いている。

 もしミミが空中給油に失敗すれば、アイスチームの4機が戦技テストで揃う事は、遂に叶わなくなってしまう。

 だが。

『アイス3よりアルタイルへ。心配はいらない。訳あって後から合流する』

 ミステールが、堂々と答えた。ミミは後で追いつくと。

『……そうか、ならよいが』

『何だよ、その「来なかったらどうするのかね?」って言いたそうな物言いは! アンネリーゼちゃんも冷たすぎだぜ!』

 アンネリーゼの返答に、バズが不満そうに反論する。

『ならば、ただ成果で示すのみだね。ではみんな、ここにいない姫のためにも気を引き締めて行こう』

 それでも、ミステールは冷静だった。

 彼女もまた、信じているのだろう。ミミはあの空中給油を必ず成功させて追いついて来ると。

「そうですね」

 ツルギも同感する。

 彼女の事を信じるのなら、ここで不安に駆られている場合ではない。

 自分が信じた通りに、今行動するまでだ。

『戦闘空域に到達しました。皆さん、作戦開始です! がんばってくださいね!』

 そして、ピース・アイがいつも通りの声で作戦開始を告げた。

 その合図で、アイスチームが素早く散開する。

『アイス4、ミュージックオン』

 一番遠くへ離れたチーター機がケイモン電子戦ポッドによる電波妨害(ジャミング)を開始。

 残りの2機は、ブラストチームを守る態勢になる。

 この援護を受けつつ、ブラストチームは対艦ミサイルの発射ポイントへと向かう。

 無論、このまま素直に発射ポイントまで通してくれる気など相手にない。

 なぜなら――

「それにしても、今日来る仮想敵(アグレッサー)機って誰なのかな?」

 ふとストームが、そんな疑問を口にした。

『さあ、フロスティ教官かな?』

 ラームは、自信がなさそうに推測する。

 フェザーがなぜ今日の仮想敵(アグレッサー)役が誰なのかを隠しているのかはわからない。

 なら彼女が言ったように、誰が来てもいいよう心して、ツルギはレーダー画面をにらむ。

 画面には、未だ敵影は映っていない。

『あいつもあいつで嫌な相手だけどな……あのタイガーシャークって奴?』

 バズがお喋りに加わっている間も、敵は画面上に姿を見せない。

 おかしい。

 手筈通りなら、もう迎撃に現れてもいいはずだ。

「ピース・アイ。そっちで敵影らしき機体は確認していないか?」

『え? はい、こちらでも何も捉えていませんが……?』

 念のためピース・アイに確認を取るが、やはりそう帰ってきた。

 ウェッジテイルのレーダーとは、既にデータリンクで繋がっている。向こう側で不審な機影を探知すれば、こちらにも情報が伝わる。

 つまり今は、本当に敵がいないという事になる。

『ははっ、まさか脅かしておいて敵はなしか? だったら幸運だな。機体に不調でも出て飛べなくなったんじゃねえのか?』

『兄さん、油断しちゃダメですよ!』

 早くも力を抜き始めるバズを注意するラーム。

 本当に、敵は来ないのだろうか。

 何か、嫌な予感がする。

 罠か、それとも――

『あっ! よく見たらこれ、マリタイムモードじゃない!』

 と。

 ピース・アイが、衝撃的な事実を口にした。

「えっ!?」

『やだ、すみません! すぐ切り替えます!』

 彼女の致命的なミスに、誰もが驚いた。

 レーダーには、探知する目標に合わせていくつかのモードがある。

 その中でマリタイムモードは、海上にいる艦船を探知するためのモードだ。

 その間は、空にいる飛行機を探知できない。

 つまり、自分達は今までずっと、無防備な姿を晒していた事になる――

『――あっ、いけない!』

 ピース・アイが何かに気付いた直後、警告音が鳴り響いた。

 ロックオン警報。敵は既にこちらを捉えている。

「ロックオンされてる!? どこ!?」

 ストームが、慌てて周囲を見回す。

 ツルギはすぐに、ディスプレイの表示を切り替える。

 電子戦画面で、自身を捉えているレーダーがどこにあるのかを表示。

 すると、その反応は自機とほぼ重なっていた。

「まさか――」

 ツルギは空を見上げる。

 眩しく地上を照らす太陽。

 その中に、1機の戦闘機の機影が――

『花火の中に突っ込むでぇ! うぉああああああああっ!』

 聞き覚えのある声と共に、急降下してくる。

「全機ブレイク!」

 とっさに、ツルギは叫んだ。

 全機が、編隊を解いて散開。

 その間を、敵機は一瞬で通り抜けて行った。

「みんな無事か!?」

『こちらブラスト2、大丈夫』

 ツルギの呼びかけに、ラームが答えた。

『アイス3、チェック!』

『2!』

『4!』

 ミステールも点呼をかけて、アイスチーム全機の無事を確認した。

「ねえ、今の声、もしかして――」

 ストームが、そんな事をつぶやく。

 そしてツルギは、見下ろして先程の機影を確認する。

 急降下した勢いを利用し、ジェットコースターのように急上昇して再び向かってきているのが見えた。

「間違いない、あれは――!」

 そのシルエットは、ヘルヴォル社の仮想敵(アグレッサー)機ではない。

 ましてや、超音速機でもない。

 本試でも姿を現し、自分達を救ってくれたかつての友軍――

「シーハリアーだ!」

 ツルギは初めて、今回の敵がスルーズ海軍である事を認識した。

 そして、目の前の機体に乗っているのは。

『いっちょ勝負や! エイミィィィィィィィッ!』

 海軍分校の候補生、ビクセンその人だという事も。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ