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ウィ・ハブ・コントロール! シーズン4! ―空軍・海軍・姫・王子―  作者: フリッカー
ラストフライト:発動! オペレーション・POP!
50/64

セクション01:追試

・フライト3までのあらすじ

 戦技テストの失敗により、さらに関係がギクシャクしていくツルギとミミ。そんな時、ストームとのデートに誘われたツルギは、その中で改めてストームへの気持ちが本物であると確かめる。

 翌日、ミミがフライトに出たまま失踪。彼女は乗機のミラージュと共に海へ自害を計っていたのだ。それを止めるべく飛んだツルギは改めて「友達でいたい」という自らの思いを伝えて説得。決死の空中給油はストームの助言で成功し、無事にファインズ基地へ連れ帰った。

 だがフィンガーは、自分がこの事態へ貶めてしまった事を深く反省、自らの罪を告白して生徒会、そしてアイスチームからの離脱を宣言するのだった……

「うーん……」

 窓からさんさんと太陽光が差し込む食堂。

 ツルギは、将棋盤を前にして悩んでいた。

「さあツルギ君、次の一手は?」

 対局相手のラームは、得意げな顔をしてツルギの行動を待っている。

 盤上の状況は、完全に劣勢。

 ラームの駒はツルギの陣地を崩し、王将に迫りつつある。

 何とか応戦はしているものの、もはや防戦一方。

「ダメだよツルギ! まだあきらめないで!」

 観戦しているストームはそう言うものの、数手先の事を考えても、攻めに転じる事はできないだろう。

 そう悟ったツルギは。

「……投了だ」

 ツルギは観念して、頭を下げた。

 ラームの顔に、笑みが浮かぶ。

「やったなシルヴィ! 初金星だ!」

「はい! 1回もミスしないで勝てたのは初めてです!」

 ハイタッチを交わし、揃って勝利の喜びを味わう兄妹。

 これまでラームはどこかしらで必ず反則などのミスをしてしまっていたが、今回遂に、ツルギは完全なる敗北を喫してしまった。

 いくらチェスが得意とはいえ、まさかこんなにも早く完全勝利をされるとは思いもしていなかった。

 負けたのは悔しいが、何だか複雑な気持ちだ。弟子の成長を認めた師匠の気持ちはこんな感じなのかな、と我ながら思う。

「なんで? どうしてあきらめちゃったの?」

「どう動かしても勝機はなかったからね。負けは素直に認めないと。もう将棋じゃラームには勝てないかもな」

 ストームとそんなやり取りをした直後。

「という訳で兄さん。約束通りにしてもらいますよ」

「……ギクッ」

 ラームの発言に、バズが顔色を急に変えた。

「約束? さて、そんな事したっけなー?」

「……とぼけないでください」

 目を逸らすバズを、ラームの左目が、鋭さを帯びてバズをにらむ。

「昨夜言ったでしょう? 『次にツルギで将棋にミスなく勝ったら、ディープキスでも何でもしてやる』って」

「い、いや、あれはジョークのつもりで言ったんだぞ……?」

「ごまかさないでください。確かに約束しました」

 ラームが席を立ち、じり、とバズに詰め寄る。

 思わず、バズは後ずさり。

「……おっといけねえ、用事思い出した!」

「逃げないでください」

 バズは戦略的撤退を試みるも、見事に失敗。

 腕を掴まれたバズは、その気になれば力ずくで振り払えそうなものだが、妹相手にはできないようだ。

「わ、わかった。降参だ降参。じゃあ、後でいいか?」

「ダメです。そう言って逃げるつもりでしょう?」

「お――おいおい、まさか今ここでしろって言うんじゃ――」

「そうてすよ、ストーム達と同じように」

 じわりじわりと妹に追い詰められていく兄。

「あはは、見本にされちゃったねー」

 ストームは、笑いながらそんな2人の様子を見ていたが、

「バズ、そんな約束してたのか……」

 ツルギは、呆れて苦笑しながら見る事しかできなかった。

 そんな時。

「なるほど。そうやって将棋盤を活用していたのですね」

 ふと声がして、振り向いた。

 そこには、扇子を開いているミミの姿が。

「おう、姫さんか。今日が追試なんだってな。調子はどうだ?」

「何ですか、その嬉しそうな顔は?」

 声をかけたバズに、不満そうに訴えるラーム。

「ええ、その事についてなのですが――」

 ミミの視線が、ツルギに向けられる。

 どうしたんだ、とツルギが思った直後。

「今日の追試に、一緒に参加してもらえないでしょうか?」

 扇子をゆっくりと閉じて、そう懇願した。

 ツルギは少し行驚いたが、一応聞いてみる。

「それは――僕達ブラストチームに、って事か?」

「はい」

「でも、追試に協力するチームはもう決まってるんじゃ――」

 そう。

 実戦形式のフライトはたんきではできない。つまり、追試の受験者だけで追試を行うのは不可能だ。

 その『数合わせ』となるメンバーについては、追試の数日前に公表される。その中に、ツルギらブラストチームは入っていなかったのだが――

「それが、ちょっとしたトラブルがあって参加できなくなってしまったらしくて――」

「そうだったのか。それで、僕達に――」

「助っ人になってって事?」

「おう! 姫さんの頼みとあらば喜んで引き受けるぜ!」

 2人の会話に、首を突っ込むストームとバズ。

 ミミは、僅かに動揺する。

「え、ええ。ですが、別にそこの、アバズレ女や女たらしや悪魔の子の実力を買った訳ではありませんからね! わ、私はあくまで、ツルギも含めたチームの総合的な実力であなた達が最適と判断しただけです!」

 妙につんけんした発言をし始めるミミ。

 なぜそこで言い訳をするんだ、と疑問には思ったが、ミミが困っているとなれば、協力しない訳にはいかない。

 それに、つい先日「それくらいの迷惑なら、買ってやる」と自分で言ったのだから。

「わかった。協力するよ」

 ツルギは、首を縦に振った。

「みんなも、それでいいな?」

 一応、他の3人にも確認を取るが、全員がうなずいた。ラームだけは、仕方なしといった感じではあったが。

「ありがとうございます。ところで、もう1つ聞きたいのですが――」

 感謝の笑みを浮かべたミミは、続けて一同に問うた。

「もう1つ、って?」

「フィンガーを、見かけませんでしたか?」

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