楠木の怒り
「朝食は、朝八時でいい」
「それだと遅いじゃけ」
花は、黒澤に言った。
するといきなり隣のベッドから声がした。
「暑いじゃけ!」
蛍が起き上がると、「エアコンでも入れる?」と、楠木が答えた。
楠木は、テレビの横の机で、さっきからタブレットを開いていた。
花が布団から顔を出そうとすると、黒澤が花にキスをした。
ホテルの寝巻に着替えたところで、黒澤と花は一緒の布団に入っていた。
おそらく蛍であろう。お手洗いに行く音がした。
「俺も寝るじゃけ」
楠木の声が聞こえたあと、黒澤と花の寝ている布団がめくられた。
その途端、「あっ!」と、蛍が言った。
どうしようもないいら立ちは、持て余すほどに怒りに変わるのだが、刹那的な波にのまれる四人ではなかった。
「ここは、剣をおさめる方が、利口じゃけ」
蛍は、慣れた調子で言った。
「分野が違うとは、このことじゃけ」
楠木が言うと、「なら、好きなようにしてや」と、黒澤が布団をかけた。
「いやー、ふざけんなよ」と、楠木は言ったが、もう一つのベッドに入り布団をかけた。
蛍が戸惑っていると、「ほたるでもいいじゃけ!」と楠木が言った。
花が、起き上がろうとすると、黒澤が花を押し戻し、パンティを下げた。
「指でいかすじゃけ」
黒澤の指が、花の膣の中に奥深く入る。
花の奥深くから滴る愛液が、黒澤の指を満たし、黒澤のペニスはふる勃起したが、入れずに我慢した。
(明日は、雨じゃろか?)と、花は関係のないことを思った。
蛍でもいいじゃけと言ったわりには、隣のベッドは静かになった。
京都御所から始まった、そして、それは、大阪、岐阜、伊勢を経て、やがて名古屋まで取り込んでいく、そのまだまだ手前の話である。
ホテルのモーニングは、予約席になっていた。
大阪の空は、快晴だった。




