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空白のノート

作者: ごはん
掲載日:2025/07/11

高校生の結菜ゆいなは、最近よく「生きる意味」を考えていた。


 ある日の放課後、図書室でふと手に取ったのは、一冊のまっさらなノートだった。表紙に書かれていた言葉は、たったひとこと。


 「書いていいんだよ」


 ページをめくっても、何も書かれていない。なのに、そのノートには、静かに何かが宿っているような気がした。


 その日から、結菜はそのノートに自分の思ったことを書き始めた。


 「生きる意味ってなんだろう」

 「どうして人は、誰かのために頑張れるんだろう」

 「何もない日は、無意味なんだろうか」


 問いばかりで、答えなんて見つからなかった。だけど、ページは少しずつ埋まっていった。


 ある日、結菜はふと気づく。

 「こんなふうに考えている時間が、一番自分らしい気がする」と。


 翌週、進路指導で先生に聞かれた。


 「結菜は、将来どうしたい?」


 結菜は迷った。でも、こう答えた。


 「まだはっきりとは決まっていません。でも、わたしはずっと、“意味を探す時間”を大事にしたいです。答えじゃなくて、問いを大切にする生き方が、好きなんです」


 先生は、少し驚いたような顔をして、微笑んだ。


 春が過ぎて夏が来たころ。

 結菜は、満たされたノートを読み返していた。そこにはたくさんの迷いや孤独や、ちいさな喜びが、確かにあった。


 ノートの最後のページに、彼女はこう書いた。


 「私は、生きる意味を考えていた時間に、生きていた」

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