さらばホシモチforever
スーの固有魔法『錨』時速150kmで動かせる二基の錨を召喚。
スーが錨を制御出来る距離は300m、だが300mを超えても錨と慣性は残る。
「いやあああああ!!!」
いつの間にかベルトに錨に括り付けられていた私は星になった。
って!そんな事言ってる場合じゃない!
縛っていた紐をナイフで切って咄嗟にジャンプ、肉体を魔力で纏って固める。しっかりと両足から着地、すぐに膝を曲げて転オロロロ!
「朝ごはんのおかわりを拒否されたのは、オエっ、この為か」
水で口を濯いでいるとス一も飛んで来た。
「急いで、モグラは目を覚ましてる!」
私は急いで立ち上がってモグラのいた場所を見る。
けれどなにもいない、まぬけの殻だ。
「違う、既に私達はモグラの土場にいる」
「モグラのドジョウ…ふふっ」
「こんな時に言ってる場合か!」
私達が警戒しているとさっきの四輪が追い付いてきた。
車は私達の前に止まる。中には三人のおじさん達が乗っていた。
「おい新人ども、聖遺体は何処だ。何処にもいねえぞ」
「…土の中に隠れました。ですがまだ地中で周囲の様子を伺っているはずです。不意打ちに警戒して…」
「片方は移動手段を持ってこねぇで片方は獲物を見張る事もできねえってどうなってんだ!」
「最近のガキは聖遺体の怖さを何も分かってねえよな!報酬だけ持ってこうとする薄汚いハイエナがよお!」
男達がス一を馬鹿にしてクラクションを殴りながら下品に騒ぐ。
許せない、私の相棒を侮辱して。自然と手が銃の方へ動く。
「全く、だから女が備兵なんて、てめぇらピッタリの仕事を俺達が紹介してやろうか!がはは!」
「…よし、足手纏いなので寝ててください」
「なんだその口の聞き方は、舐めてんのかあああ!」
「なんじゃこりゃ!」
スーの錨は、車に乗っていた男達を振り落として真上に打ち上げた。
「…流石だね、相棒!」
伸びている男達を木の上に放り投げる。
そして固有魔法発動『偽装』自分の分身を生み出す能力。
分身の戦闘能力は私の半分に落ちる。だが100m以内での遠隔操作と自動操縦の機能。そしてこの分身が致命傷を負った時、次その分身の死体に触れた者は私の攻撃力で同じダメージを与える能力を持つ。
「グラッシャアアア!」
地面が揺れる。私は高く跳び地面を破壊して出てきたモグラを避ける。寸前分身を設置、それは噛み殺される。だが能力発動、噛み砕かれた分身はモグラの胃の中に落ちた。モグラの全身から血が吹き出す。
でもまだ終わらないよ!
「モグラは視力が低い代わりに聴覚と映覚が発達しているからね。ならうざかったでしょ〜クラクションの音は!」
打ち上げられた車がモグラの脳天に鉄槌を下す。
そうしてその巨体は崩された。
「やって欲しい事を言わずともやってくれる、だから私はホシモチが好きなんだよ」
「スーが誘導してくれるから動けるんだよ!」
お話も程々に男達を起こして街に帰ろうと準備していると森の向こうから走ってくる人影が見えた。
「皆さん大丈夫ですか一!大変遅れてしまい申し訳ありません!」
「本当にすみませんって、なんだこの状況?」
人影の正体はもう一方の協同者の人達だった。
二人とも黒い髪に青い目をした、同じくらいの背の男女だった。
「俺の名前は志野草キンジ、こいつは俺の妹です」
「初めまして、志野草ハナメです」
「二人は双子?」
子供の頃落ちていた本で読んだことがある。
1990年のとある外国で異世界の研究をしていた男が発見した存在。
それは並行世界から現れた存在であり全てが何から何まで同じ、そして二人が出逢うと対消滅するなどの…
「何処の情報ですかそれ!?」
「随分と想像力がある人ですね」
「へへっ、ねぇスーも…スー?」
スーがモグラの死体の近くにしゃがんで何か言っている。
「…別の存在…。くそっ、ホシモチ!その二人を使って本体を倒して!」
スーが私のベルトに錨を付ける。
「このモグラはただの失敗作に過ぎなかった!」
「おかしいな〜私はホシモチにダジャレなんて一つも仕込んで無いのに」
「同情してどうじょ、へへっ」
「あはは、教育決定〜!」
「目が笑ってないよ〜!!!」




