ツーサムテール
2ヶ月投稿してないのヤバ谷園
勉強頑張ってたから許してヒヤシンス。
得意科目は英語と歴史です。数列、お前には消えてもらう
昔々、といっても精々4,50年前のこと。人は神と戦ったらしい。
私はまだ生まれていなくて人から聞いただけだけど、神はとても強かったそうだ。けれど神は倒された。人の力ではなく、神の力で倒された。
そして突飛な話になるけれど、その神様がこの人だ。
「おぉ、死んでしまうとはどくしょな。おめさんばかしょったれごそつき!」
「お前はとてもだらしなくて落ち着きがない、どこで覚えたんですか」
神、人の枠を超えた超生命。
生命の神秘を操り、光を支配して、魂を手玉に取る。
この人も同じように魔法では実現不能の能力を持つ。
「まったく、そんな冗談はやめてください。本当に死んだらどうするんですか」
「スアレスが死ななければ大丈夫だよ、私たちは一心同体なんだから」
「そういうことじゃないですよ!」
しかし尊敬して崇めることができるかと言われれば、まったく思わない。
この人よりまだホシモチの方がしっかりしている。
そのうえこの人、じゃなくて神、割と役に立たない。
「しかし丁度良かったです。この後どうすればいいか分からなくて困っていたんですよ」
「無論私も分からないよ」
「それでも神様ですか!」
「別に役職に就いたからって能力が付いてくる訳じゃないからね」
なぜなら、神というだけで能力はそこらの一般人程度。
こうなった理由を知っているから私はこの神を無下にできないけど、15年も一緒にいると感謝も薄れてきて最近は結構うざったい。
私の評価ではキーボードに乗ってくる猫だ、飼ったことないが。
憎めないけどそれはそれとして、めっちゃうざい生き物。
「ねぇねぇ、思考もリンクしてること知ってるよね?さっきから言いたい放題言い過ぎでしょ!!」
ちっ、この神様が私のファーストキスの相手だなんて屈辱だ。
まだ自分の手の甲のしわを寄せて唇みたいにしたのとしてる方がマシ。
「やばい機嫌が悪いから毒舌が止まらない!仕方ないから真面目に考えるよ」
「最初からそうしてください」
私が死にかけているのにまだお遊びモードだったようだ。
イライラ、まずいアンガーマネジメントしないと。
頭の中に好きなものを思い浮かべる。
お金、ホシモチ、弾詰まりしない銃、クレジットカード、師匠の作るソリャンカ、価値が下がらない資産、師匠。
はぁ、早く仕事終わらせて帰りたいなぁ。
「悩みに悩んだ結果、やはり君の師匠殿を探すしかないよ。あの人は優秀ではないけど運がいいから、君との相性がぐんぱつでしょ」
「だから場所が分からないんですって」
「なら暴れて、ハピエン厨のあの人がこの状況をよしとするはずもなし。君が目立てばあちらから接触を試みてくると思う」
確かに、師匠ならこの状況を良しとするはずもなくて。
良くも悪くも100億%何かしらの行動を起こしているはず。
今日に限っては中々いい提案をしてくれる神様だ。
「それじゃあそろそろ起きますね。次回の吉報をお楽しみに」
「無茶は最小限にするんだよ〜、スアレスがうっかり死んだら芋づる式に世界も滅んじゃうんだから」
「それは耳に芋けんぴが生えるくらい聞きましたよ」
お前だけが希望だって、突然そんなことを言われて、言った本人はいつの間にか死んで、誰に断ることも任せることもできなくなって。
本当に、ほんっとうにっ!嫌な役割を押し付けられた。
全てが解決して自由の身になったら、必ずあの人を見つけ出して私の苦労話を聞かせてやる。あなたより私の方が頑張ったって、雑にウザ絡みしてやるんだ。
そんな怒りと期待を込めて、硬くて白の素材の分からない床に眠る。
...また徹夜になるかもしれないから、一つ神様に聞いておこう。
「ねぇ神様、あと何回『大気の超循環』使える?」
「んっとね、厳しく見積もって7回ってところかな」
んげっ、平均点63点って聞かされた後44点の答案が返ってきた学生の気分だ、テンション下がるなぁ。
あぁ、落ち着いてきたら眠くなってきた。
体をリラックスさせて、瞼を閉じる。
さようなら神様、次会う時までにそのエセ方言を止めてください。
身体に不調無し、魔力の流れも絶好調。
雪屋スアレス、完全復活といっても差し支えない。
寝たら寝た分だけ回復するのは、結構ありがたい能力だ。
滲む目を手で刺激して覚醒させる。
すると目の前に鉄格子、どうやらここは牢屋らしい。
私みたいな怪我人をもてなすには到底似合わない。その上怖〜い中尉と2人部屋、まるで罪人扱いだ。
「ねぇ中尉、私どのくらい寝てた?」
「勝手に降格するな、俺は中佐だ」
「そうだっけ、そうだ。中性的な中佐で覚えてたんだった」
あれ、ツッコミが飛んでくると思ってたのに。
どうやら中佐はお疲れなのか、壁にぐた〜んと寄りかかったまま顔も合わせてくれない。
私も寝転んだまま話しかけてるからお互い様だけど。
しかし駄菓子菓子、これはチャンスともいえる。
さっきはオルガやらレジスタンズがいて冷静に話せなかったけど、今は2人っきりの密室。
軍人と美少女、何も起こらぬはずがなく。
タイマンでの殴り合いなら絶対に負けない、師匠仕込みの寝技で締め上げて軍の内部情報をリークさせる。
......普段なら、手っ取り早くそういうことをする。
暴力は最も分かりやすい解決策、勝ちか負けかの判断は白か黒かを当てるように容易いこと。でも、それだけだ。
人権や法律とかは後付けの設定はどうでもいいけど、人として、何のために力を使うのかを忘れたらただのゴミだ。
今の中佐を見て心が痛まなきゃ、痛まないのなら、私はどうしてここまできたんだろうか。そんな私はいらない、師匠達に顔向けできない。
私たちに寝起きの気怠げは存在しない。
ぬるっと身体を起こして、中佐の前に立つ。
顎クイっ!胡座パカっ!ストンっ!
「君は何やってるの急に!?」
「信頼してますよ中佐さん、欲情しないでくださいね」
「この子怖い...!」
私もやってから思った、アウトじゃないこれ?
でもやった後に直すのは私が意識してるみたいでやだ。
私はまだ結構クールキャラで通しているんだから。
ちゃんと打算的に考えてやっている、風にしたい。
「だって中佐さんが暗いから、こんな牢屋でいじけていたら山椒魚になっちゃいますよ」
「井伏さん!?ネタがニッチすぎるよ!」
「おぉ、まさか拾ってくれるとは。脳死で話してる私と息が合いますね」
「それ遠回しに馬鹿って言っているよね」
「いやいや、初対面の人にそんなことをいう勇気はないです」
「うん、君は今どこに座っているのかな」
なんだろう、波長が合うというか話が合う。
私は結構コミュ症なところがあるのに、中佐に対してだと遠慮が発動しない。スーパーロスに来て初めて、楽しいと思えた。
それから私がスーパーロス出身なことや好きな銃について語りあった後、話は好きな食べ物の話に移る。
「プロイシスには美味しいピクルスが全然っ無いの!ザワークラウトなんて見たことも無いし!」
売っていたとしても化学薬品ドサァァみたいなのばかりで気に食わない。ちゃんと自然の力で発酵させてやつじゃないと訳が違う。
「なら自分で作ればいいじゃん。お母さんから教わらない普通?」
「あっ私物心ついた時には1人だったから」
「待ってー急に地雷置いていくの辞めてよ」
「別に孤独ではなかったから辛くないよ、今は妹と弟みたいなことのもいるし」
「......そっか、いいね。僕は独り身だからさ、最近家に帰ると虚しく感じる年になってきたんだよね」
おぉと本気でよくない現象だ。
安心できるはずの自宅が敵になるのは心を蝕む。
だから人は結婚する必要があるんですねぇ。
「それでご結婚の予定はあるの?」
「したいと思える人はいるんだけどね、ちょっと事情があってさ」
「そんなこと言っていたら他の人に盗られちゃうよ!」
「でも失敗したら嫌だしさ、それで関係性が切れたりしたら僕もう立ち直れない気がするよ」
「中佐、鏡見て」
こんな可愛くて愛嬌あって優しくて料理できる公務員。
この人に彼氏、じゃなくて彼女いなかったら逆に怖いよ。
「でも気になるな、なんか写真とかないの?」
「君は本当に遠慮がないね、このペンダントに入っているけど」
「貰っらい〜!」
中佐の首からロケットペンダントをひったくる。
さてさて、可愛いらしい中佐に似合うお相手とは!
それでは、オープンザプライス!
「30代でお互いに相手がいなかったら結婚しようか、レン」
「...ちなみに理由は?」
「プロイシスでは同性婚が認められてないんだよ」
「顔採用じゃないかあほんだら!」




