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アイススケートエスケープ

私が錨を使わずにわざわざ馬で国境を越えたのは、スーパーロスの戦闘機を警戒してのことだった。

いくら私が強いとはいえ、スクランブルで襲われたら一溜りもなく血溜まりができる。がそれでもと、ここまでくればゴリ押しで行けると考えたが甘かった。


機銃の掃射を錨を盾に防ぐ。真横を一機の戦闘機が通り過ぎて、風圧で私の体は大きく揺さぶられる。


「提供の速い料理店!」


一名です、とスーパーロスに密入国すると四機の戦闘機がお出迎え。お通しに鉛玉を二発喰らわさた。


錨を最高速度で私の周りを旋回させ、手で宙を仰ぎ位置を変える。

でもこんなのは悪足掻きの腹の足しにもならない。

四機の戦闘機を相手に空で戦うのは自殺行為、ミサイル飛んできたらお陀仏ご臨終だ。高度を下げないといけない。


フレア代わりの燃焼グレネードを蒔きながら重力で下に落ちていく。

そんで街の方向は分かってるからあとは低空飛行して隠れるだけ。近くに街もあるからミサイルがくるとは思えない、余裕のよっちゃんって感じ。


「陸の部隊さえ来なきゃどうってことないな〜」


あえてフラグを建てることでフラグを回避するモルントルンさん伝聞の荒唐テクニック。

...だがもし当たるんならここでいちいち消耗してられない。無理の前貸をしてやろう。足に錨、体にアルミシートを巻きつけれる。そして雪の中に潜る。スキー、いやボブスレーかな。ボブスレー選手に失礼だね。

戦闘機の視界を切って街までの12kmをこれで行く。


あぁ〜服の中に雪が〜!しゃっこいぃ〜!

体力低下を抑えるためにこんなことしてるのに逆に疲れる気がする。

まぁ機銃で撃たれて死ぬよりは低体温症で死んだ方が死体が綺麗に残るから死的には嬉しい。でも私は隕石に潰されて死ぬって決めてるから、ここで死ぬ訳にはいかない。


デザートイーグル、砂漠の鷹とか意味わかんないね今更だけど。

撃鉄を起こし、別に動かしてる荷物用の錨で視界確保、狙撃。

なるヘソで足を狙う。そうすれば救護する人員を割かせるから。

撃ちまくるけどやっぱり装填数もリロードも遅い、倒しきれない。

私は雪の中から飛び出して錨の上に立つ。目の前には、熊の毛皮で作られた軍服を着たでかい男。


「やっと貴様に喰ら」

「うっさい!」  拳!


『メドヴェーチ部隊』雪上の機動力を極限までに上げた突撃部隊。

メドヴェーチは熊を表す言葉であり、白兵戦においては世界最強の名を欲しいがままにするやばい奴ら。近づかれたら苦戦は間違いない。


AKMを取り出し、殴り飛ばしたやつを沈める。

次に接近してくる奴らを問答無用でぶち抜く。

近づいてきたら銃床で顎をぶち抜く。完璧な作戦☆


ドンドンドンドーン!!!

突如大きな爆発音が辺りに鳴り響き、雪が宙を舞う。


なぁー!迫撃砲の雨ー!視線を低くして破片を避ける。

着弾じゃなくて空中で爆発、撃ち落としも手が震えてて無理!

速く街まで行かないと、しかしこの状況で無理に入っても逆効果かもしれない。でも時間かければかけるほど幹部級が派遣されてジリ貧になる。

一番いいのは死んだと思わせること、でも死体撃ちされる系の死に方はできない。


ならばと進路変更、狙わないで弾をばら撒きながら撤退。

あぁ弾はあるけどマガジンがない!10個くらい用意しておけばよかった...!マガジンを耐久品感覚で持ってきたのが失敗だ。

ちくせう、やっぱり頼れるのは拳なのか。拳は残弾数∞の銃!!


「おらっ!」

「がああ!」


鼻、顎、耳の中!中指を尖らせて骨と脳にダメージをぶつける!

師匠に教わった性格の悪い格闘術を容赦なく使う。


だがここで速度を緩めたのが間違い、背後から錨にスノーモービルをぶつけられ制御不能となり、私は錨から叩き出された。

乗っているのはフルアーマーのおそらく男、装備品はグレラン。

すぐに錨を戻し弾丸を防げる体勢を作る。


「下品なボクシングをする女だな」

「強ければスタイルなんてどうでもいいでしょ」

「弱いから言ってんだよマヌケ」


話などいらないと言わんばかり食い気味にグレランを向けられる。

ベレッタを腰から抜いて発砲、グレランを持つ手に当てる。

発射された砲弾は右に逸れてギリギリで回避できた。


「今度はウェスタンの真似事だと?

「ファストドロウは義務教育だよ!」


錨を敵に向けて発進、先にこいつをぶっ飛ばす。

デザートイーグルで撃たれた砲弾を撃ち落と、ムーブ!!!

錨を盾にしながら地面を転がり続けて爆風から逃れる。


ドンドンドドンドドトンドンドーン!!!


「いい反応速度だ、虫ケラらしくな」


くそっ、あんなの私のデータにないよ!連射できるグレランってなに!?

敵のリロード間に錨を動かして接近。爆発系武器なら自分への被害が及ぶ範囲で撃てない、近づけば勝てる。

ってこの音はさっきの迫撃砲の音と同じだ、あれを一人でできる武器か。

...あの武器は鹵獲したいねぇ、高く売れそうだ。


「もっと逃げまわれ虫女!無様に必死さを見せろ!」

「煽っていいのは、いや、人を煽るのは良くないよ」


あんな爆発を連射されたら近づけない、隙を作らないと。

AKMのマガジン込め完了、装填、排莢、発射。

すると弾は大きく発光し、敵と私の視界を奪う。


「っ!!曳航弾だとっ!?」

「12月24日の大都会よりキラキラのね!」


ホシモチに作らせたやけくそギャラクシーキラキラ弾!

これで額を撃ち、苦し紛れに砲弾をぶっ放してきた!

錨を急ブレーキして地面に突き刺し、気合で錨の後ろに体を捩じ込む。

そして大爆発、衝撃と騒音で頭が痛い。


けれど集中は切らさない。爆風が止んだ瞬間、あいつの頭を撃ち抜く。まるでだるまさんが転んだだ、命懸けの......これってイカ


「いま!」


片方の錨で視野を取り、爆炎の外からデザートイーグルで頭を抜いて殺す。

そしたらすぐに死体のそばに寄って服の中を漁る。目的は敵の作戦情報。

敵の配置、強敵の配置、対空装備の配置、拠点の配置。


でもなんもないな、やっぱり将校しか持ってないか。

無線を確保して撤退、っ!まずい追いつかれていた!


背後2mに迫撃砲着弾、爆風と破片が体を抉る。

けど一旦無視して錨に体を乗せて発進、敵を引き寄せる。

錨の隙間から弾丸が超えてきて当たるけどひとまず無視。

メドヴェーチ部隊の幾らかが接近してるのを確認したけど差し当たって無視。


...雪が沢山降っている、地元民でも慣れ親しんだ景色とのギャップに迷ってしまうだろう。だから、ここがどこか分かっていない。

回収したグレランを地面に発射、衝撃が周囲に伝わる。


地獄に堕ちよう、星の屑として。

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