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りんご農園

作者: けいし
掲載日:2024/01/16

風が吹き非常に寒い夜の12時。

僕は、暖房も入れずに、白紙のエントリーシートを眺めていた。

僕は、大学3年生。

そろそろ、就活を始めないといけない時期だ。


大学生活は、普通の大学生並みには楽しんでいる。

しかし、最近になって思ってきた。

むなしい。


社会人としてふさわしい態度、身なりを心がけましょう。

合説に参加することで、会社への意欲が伝わります。

この会社の面接では、ここを見ています。


こんなことをして、一体どうするのだ。

本心を隠し、演じなければならない。

こうなってくるともはや奴隷ではないか?


下書きの鉛筆は動く気配がない。

気がつくと、朝が来ていた。

朝というより昼前だが。


どうやら、寝落ちしてしまったようだ。

横になったまま、スマホのメールをチェックして、また気分が落ち込んだ。

とりあえず、アプリを閉じた。


今日は、考えるのやめよう。


僕は、起き上がり、歯を磨いて、着替えをした。

とりあえず、何か食べ物を買いに行こう。

そう思い、スマホとエコバッグを持ちアパートを出た。


スーパーは徒歩3分と意外に近くにある。


スーパーに到着した。

いつものように、野菜売り場から回り始める。


目に入った野菜や果物は、色鮮やかで美しい。

特に見つめていると、いつもの日常に癒しを感じる。

それぞれの食材が、大地から生まれ、丁寧に育まれた過程を思い浮かべると、なんだか心が温かくなる。


スーパーの買い物でこんなことを考える人はなかなかいないだろう。


手に取ったリンゴを観察しながら、ふと思った。

「人生って、何だろう?」

僕は何を求めて生きているのだろうと考えた。


ふと、隣に立つ女性の姿が目に入った。

彼女は年配で、少し痩せているが優雅さを漂わせている。

彼女はさっきまで物静かに商品を選んでいたが、急に手を止め、こちらを見つめている。

驚いたような表情を浮かべ、微笑んだ。


「お兄ちゃんよ、お願いがあるのですが」と彼女が声をかけてきた。


僕は驚きながらも、年配の女性に近づいた。


「私にとって今日は、特別な日なのです。この先、病気で動けなくなってしまうかもしれないので、最後の思い出を作りたくてスーパーに来たのです」


少し意味が分からなかったが、

どんな思い出を作りたいですか?と僕は尋ねた。


年配の女性は少し情緒的な声で言った。


「もう一度、長い間続いていた恋人と会いたいのです。

彼はこのリンゴ農園で働いていたの。

あなたが手に取っているリンゴはその農園のもので、彼はきっとここにいるはず」


僕は思わず手に取っていたリンゴを見つめた。

そうなんですね。


行くかどうか迷いはしたが、最終的に、年配の女性と一緒にその農園へと向かった。

その農園は、車で30分ほどのところだった。

その場所に足を踏み入れると、目の前に広がる景色は絵画のような美しさだった。


そして、年配の女性の恋人と出会った。

見た目からして、彼はおそらく、年配の女性と同じくらいの年齢であろう。


彼女は彼との再会を喜び、思わず抱き合っていた。

その2人の後ろには、りんご畑と美しい空が広がっていた。


そして、僕は今このりんご農園で働いている。

特に深い理由はないが。


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