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魔獣イラストレーターと最強のFランカー  作者: 成若小意
第五章 最強のFランカー     (推定累計ポイントAランク)

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5-5  付録 ゴーシュの情報源

 ゴーシュがまたもや珍しい魔物を見たいと言い出した。キメラタイプの魔物らしい。なんでも、シマウマと蛇のハイブリットなのだそうだ。


「頭がシマウマで、後ろ足側が蛇とかか?」


「それが違うんだよ~! 頭も前足も後足もシマウマなんだけど、胴体の部分だけが細~い蛇なんだ」


 ゴーシュがどや顔で、手でどうにかそのシマウマ蛇の真似をしつつ解説する。


「かわいげがないな」


「シオンの感想もどうかと思うぞ」


「それにしても、ゴーシュはどこからこんな珍しい魔物の情報を収集しているんだ?」


 ザバックの突っ込みは置いといて、ゴーシュにそう尋ねる。


「『趣味の会』で聞くんだよ」


「趣味の会?」


「そう」


 驚きだ。ゴーシュにそんな交流があったとは。


「じゃあなにか? お前みたいなやつが他にもいるってことか?」


「ちょっと違うかな」


 よくよく聞くと、魔物好きで集まる趣味の会と、魔物のイラスト収集家と、普通の絵を描く美術家の集まり、ゴーシュはそれらいろいろな趣味の会とやらに所属しているのだそうだ。


「僕みたいに魔物、特に魔獣が好きで、イラストが描けて、しかも魔境まで来て生き延びられる人っていうのはそうそういないんだ」


 そんなにいてたまるか。と言う突っ込みはザバックのもの。キファランガは感心して聞いているし、黒雷は聞いているのかいないのかわからない顔をしている。


「魔物もいいけど僕が描きたいのは魔獣なんだ。あの神々しさを描き起こせてこそ、魔獣イラストレーターを名乗れると言うものなんだよ」


 滔々とゴーシュは語る。


 ちなみに今はそのシマウマ蛇の生息するという()()()()()の手前。そこを越えるためにザバックとキファランガ、新入りの黒雷があれこれ案を出してくれているところだ。人が多いとこういう時に助かるものだと感心する。


 ゴーシュの故郷は魔物とは無縁の場所らしいが、そんな場所でも、いやそんな場所だからこそ魔物の絵の熱狂的愛好家がいるそうだ。そんな人にゴーシュの絵は高値で売れると自慢していた。





 ゴーシュのように魔境にでの絵描きになりかけた人はそれなりにいるそうだが、生計を立てるまでには至っていないとゴーシュは語る。


 とある冒険者は、魔物をなかなか倒せない悔しさから、魔物の弱点を見抜こうと記録に残し始めた。しかし、絵が下手だった。別段、記録としては問題のないレベルの絵ではあった。しかし人に見せるほどではなかったのだ。


 ある冒険者は、自分が倒すことのできた魔物を人に自慢しようと絵に描き残した。この人物の絵はそれなりに上手かったのだが、いかんせん弱かった。大した魔物も描き残せず、引退した。


 ある絵描きは、文明の地にいて冒険に憧れた。蜘蛛の魔物アラゴンの絵本を読み魔物の冒険譚を聞いて育ち、魔境への憧れを抱いた。しかし、常識的な人であれば魔境へは行こうとも思わない。やがてこの人物は空想の中の魔物を描くようになり、ある程度の支持は得たものの、それだけだった。


 そんな中ゴーシュは異常なまでの魔獣への興味、そして執拗なまでの絵画の経験、さらに異常なまでの行動力をもって魔境へ繰り出す一流の絵描きであった。


 魔物の絵を描くことを諦めた数多くの仲間たちは、情報だけは持っていた。彼らは冒険者から話を聞いて、『いつかは自分が』と思って情報を集めていたのだろう。


 ゴーシュの情報源はそんな趣味の会の仲間よりもたらされていた。


「すごいな。ゴーシュの執念は。それで、今回のシマウマ蛇の情報はどんな奴から聞いたんだ? こんな奥地なかなか来られないだろう」


 ザバックが感心してそう尋ねる。


「アウローラの子供だよ!」


 最近のゴーシュはコミュニケーション能力が増したようだ。




 ちなみに毒の沼を越える方法は見つからなかったので、俺が投げ縄の要領でシマウマ蛇を捕まえたところ、ザバックに「なんだよその方法」と嘆かれた。

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